フランスではスーパーの冷蔵システムに侵入し、設定変更
ここで、フランスのスーパーマーケットで起きた事件を考えてほしい。攻撃者は、店舗の冷蔵・冷凍設備を管理するシステムに侵入し、設定を変えた。
冷やすはずの設備は逆に熱を持ち、冷蔵庫や冷凍庫の温度が上がり、商品が傷み、火災も起きたと報じられている。数百店舗が影響を受け、1日で数千万ユーロ規模の損失になるとの見方も出ている。
この事件にAIが使われたと確認されているわけではない。むしろ、AIを持ち出すまでもなく、現実の社会を混乱させることができたという点が重要だ。
冷凍庫は単なる家電ではない。食品の保管、仕入れ、配送、販売というサプライチェーンの一部である。その管理システムに侵入すれば、商品の価値を一晩で失わせることができる。
攻撃者は爆弾を使わず、建物を破壊せず、ただ設定を変えればよい。サイバー攻撃が現実の物を壊し、人々の生活を脅かす時代は、もう空想ではない。
しかも、報道では、影響を受けた機器の一部に古いファームウェアが使われ、インターネットからアクセス可能な状態だったことが指摘されている。ここには企業経営の根本的な問題がある。
効率を上げるために設備をネットワークにつなぐ。遠隔で管理する。人手を減らす。データを共有する。企業はデジタル化によって生産性を高めてきた。しかし、便利さと引き換えに、攻撃される入口も増やしてきたのである。つなぐことは、攻撃の可能性を広げることでもある。













