子ども時代のいじめ経験でうつ病になるリスクが約3倍に
「いじめや虐待、犯罪被害、災害被害、経済的困窮など小児期に深刻な逆境体験が重なると、その影響は精神面のみならず、生活習慣病をはじめとする身体的な慢性疾患の罹患率にも波及します。米国の研究報告によれば、6つ以上の逆境体験をした方は、していない方と比べて平均寿命が約20年も短いという衝撃的なデータも示されています。
また、いじめで言えば、世界中の色々な調査をメタ解析すると、子ども時代にいじめを受けると成人後、うつ病になるリスクが約3倍になると言われています」(東京医科大学病院メンタルヘルス科の桝屋二郎教、以下同)
桝屋二郎教授は、いじめ被害のリスクについてそう語る。
「いじめから受ける被害というのは相当深刻なんです。虐待ももちろん深刻な被害ですが、虐待は親だったり大人だったり圧倒的にパワーバランスが上の人から受けます。それに対し、いじめは本来(パワーバランスが)同等のはずの仲間から受けるケースが多い。
そのため『自分が劣っているから』とか『適応できないから』などと劣等感や不全感がより強くなる傾向にあります。いじめの経験はうつ病だけでなく、不安障害、自傷、自殺など多くのリスク因子になります」
いじめを含めた小児期の逆境体験は、脳の神経発達のバランスを崩すことにも繋がるという。
「福井大学の友田明美教授の研究が有名なのですが、色々な逆境体験を受けると、脳の発達や構造・機能の違いと関連することが明らかになっています。脳の発達や成熟は20代半ば以降まで続くと言われていますが、その間に色々な経験を積まないとバランスよく育っていきません。
しかし、虐待やいじめなどのひどい目にあっている状態が続くと、それを回避することに集中し、その部分の脳だけが使われます。逆に新しいことをやると自身にとって脅威になることが多く、新奇探索することで使われる脳の部分は使われなくなります」













