娘には「インターフォンには出なくていいからね」と伝えたが…
夕食は簡単にすませ、そのぶんお弁当作りに時間をかけようと、A子さんは16時ごろ、フードデリバリーアプリで料理を注文した。
普段は節約のため、デリバリーを頼むことはほとんどなかった。しかし、この日は知人からもらった割引クーポンがあったため注文したという。ところが、お弁当の材料を確認すると、フルーツや飾り用のピックが足りなかった。
「一緒に買いに行く?」
A子さんが尋ねると、B子ちゃんは、
「デザートはお楽しみにしたいから、内緒にして!」
と答えた。そこでA子さんは、1人で近所のスーパーへ向かうことにした。
「じゃあ、お買い物に行ってくるね。デリバリーを注文したから届くかもしれないけれど、インターフォンには出なくていいからね」
そう言い聞かせて家を出た。
スーパーでは、娘が喜ぶだろうと、普段ならあまり買わない少し高価なパイナップルもカゴに入れた。
そのころ、母親が不在の自宅にはコミルジョノビッチ容疑者が配達に訪れていた。A子さんが保管する配達履歴によると、配達員が玄関前に到着したのは17時8分ごろ。その約10分後、B子ちゃんは自ら110番している。
A子さんが家を空けた、わずかな時間の出来事だった。事件当時のことを尋ねると、A子さんは、
「容疑者は娘を抱きしめたりして……」
と話したところで、目に涙を浮かべた。それ以上、記者は無理に聞くことはできなかった。














