ウエルシアの「ついで買い」戦略の難しさ

食品で集客し、高利益商品の購入を促すという戦略は、ドラッグストアの役割を大きく変えるものだ。

セールスプロモーションを展開するエクスクリエが2026年3月に実施した「ドラッグストアにおける店頭・商品施策の購買影響調査(2026年)」によると、「ついで買い」をする商品ジャンルは「お菓子・スイーツ」が62%、食品は42%、飲料が28%だった。飲食料品が上位3つを占めているのだ。

従来、ドラッグストアは医薬品やシャンプー、トイレットペーパーなどを目的に来店し、そのついでに菓子やパン、牛乳などを購入するケースが多かった。食品は従属的な位置関係にあるが、ウエルシアはこの主従関係を置き換えようとしている。

「ウエルシア」の食品強化型店舗(写真/ウエルシア薬局株式会社)
「ウエルシア」の食品強化型店舗(写真/ウエルシア薬局株式会社)
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ドラッグストアの食品強化策で外せないのが、九州地盤のコスモス薬品だ。食品の売上比率はウエルシアの3割に対し、コスモスは6割に達している。ウエルシアとツルハが経営統合したこともあり、コスモスは売上規模でマツキヨココカラ&カンパニーに次ぐ3位につけた。勢いのあるドラッグストアだ。

ウエルシアの食品強化はコスモスに追従する動きのように見えるが、2社はビジネスモデルが大きく異なる。コスモスは食品そのものを主力事業と位置づけたビジネスモデルである。毎日安売り戦略を採用し、安く提供するために現金のみの取り扱いだ。ポイント還元サービスも導入していない。商品を安く提供することに全振りしていると言える。

ウエルシアは食品強化だけで勝負するわけではない。専門人材による健康サポートやWAON POINTによる顧客還元、多様な決済手段などを組み合わせ、健康を軸とした総合的な利便性を提供しようとしている。

ここで思い出したいのが、かつて隆盛を誇った総合スーパーの衰退である。総合スーパーは何でも手に入ることを武器に都市部で出店を重ねたが、やがて持ち味が失われていった。衣料品はユニクロ、家具・生活雑貨はニトリなど専門店への消費者流出が進み、小売業の専門分化が加速したためだ。