「まだ足りないんです。今度はここを整形したい」
――ルッキズムについて生々しく描いた本作、『ダウンタイム』を手がけることになった経緯について教えてください。
Yuki Saito(以下同) まずNetflixからオファーがあったことが始まりでした。それまで僕は美容整形について深く考えたことはなく「若い人たちはカジュアルに捉えられているんだな」というくらいの認識だったんです。
しかし、改めて美容整形に向き合おうとSNSや動画など様々な方法で調べてみると、整形後のダウンタイムの体験談など、想像以上に美容整形がオープンになっていると感じました。
そこで美容整形が正しいのか正しくないのかと問うドラマではなく、美容整形に臨む人それぞれが持っている価値観や問題を見せていき、ドラマの視聴者が自分で美容整形について考えていくドラマを作りたいとスタッフに伝えました。
――長い時間取材をされたそうですね。
3年くらい前から企画は進んでいたので資料は豊富にあり、それらを参考にしながら、美容整形の関係者、美容整形をした方々などを紹介してもらい、プロデューサー、脚本家などスタッフも一緒にお話を伺いました。
ドラマの主人公・形成外科医・沼田文(松岡茉優)と美容外科医・遠山凜(仲里依紗)という主要キャラクターは決まっていたのですが、美容整形に臨むキャラクターたちはゼロから作り上げることになっていたので、この座談会で知り合った方々はキャラクター作りにおいてモデルになっています。
その方たちの美容整形の経験、価値観、美への思いなど「この人の経験とこの人の考えを掛け合わせてみよう」というようにキャラクターを造形していきました。
――美容整形の経験談を聞いた中で、特に強烈な印象を受けたエピソードは?
やはりいちばんは、美容整形にはまっている方のお話ですね。何度も何度も整形されて、それでも「まだ足りないんです。今度はここを整形したい」と言うんです。十分お綺麗で、これ以上必要ないのではないかと僕は思ったのですが、その考えは外部の考えで、決めるのは本人なんですよね。
彼女は毎日鏡を見て、自分の顔を熟知している。その上でさらにアップデートをしたいと思ったわけです。ダメだから治すのではなく、もっと綺麗になりたいという前向きな気持ちです。
その方にとっては、自分の顔を鏡で見たときにポジティブな気持ちになれることが大事。美容整形によって生き方がいい方向へと変わっていくんだと思いました。
――何度も何度も整形する方のお気持ちは一般的にはあまり理解されていないように感じます。
最初は僕も美容整形をとても重く受け止めてしまっていて、「また整形するの?」と思ってしまったけれど、当事者の方々は明るくて、整形の話をしているとき、とてもイキイキしていたんですよ。
インタビューが終わったあと、アップデートしたらまたお会いしたいな、どんなふうに美しく明るく元気になっているのかなと思ったくらい、僕自身の美容整形への見方がガラリと変わりました。













