敵だったはずのネットが、今は支えになった

──お酒は、一種のコミュニケーションツールでもありますもんね。

そうですね。特に芸人って、劇場が終わったあとに皆で飲みに行く文化がありますから。先輩の話を聞いたり、そこでかわいがってもらえたり。だから、お酒そのものを否定する気は全然ないです。

若手時代の武智さん(左)とモンスターエンジン・西森洋一さん(写真/本人提供)
若手時代の武智さん(左)とモンスターエンジン・西森洋一さん(写真/本人提供)

ただ、一方で「酒を飲んだから面白くなるか」というと、それは違う。酔った勢いで「これ面白い!」と思って書いたネタを翌朝見返したら、「全然おもんないやん」ってなりますし(笑)。

実際、『M-1』で頂点を目指していた時期は、お酒どころじゃなかったです。「酒を飲まないと面白くなれない」ということは、絶対ないと思います。

「酒を断つと芸人として弱くなる」という不安は全然なかったです。むしろ、今のほうが頭はすっきりしていますし、人の話もちゃんと聞けるようになりました。

──武智さんが、ご自身の禁酒生活をSNSで発信しようと思った理由は?

最初は記録のつもりでした。ただ、上沼さんの件がトラウマになっていて、「禁酒生活を発信しても、どうせまた叩かれるんやろうなあ」と思ってたんです。

でも、始めてみたら全然違いました。「頑張ってください」「応援しています」。そんなコメントばっかりやったんです。そこで、自分と同じようにアルコール依存症で苦しんでいる人が、たくさんいることも知りました。

禁酒生活2日目の動画には飲酒欲求に抗う姿も(写真/「スーパーマラドーナ武智の禁酒断酒チャンネル」より)
禁酒生活2日目の動画には飲酒欲求に抗う姿も(写真/「スーパーマラドーナ武智の禁酒断酒チャンネル」より)

以前は恐怖の対象でしかなかったネットでしたが、今ではそこに書かれたコメントが支えになっている。不思議な感覚です。

今ね、お酒を飲みたくなったらコメント欄を見てグッと、とどまるんですよ。「ここで飲んだら応援してくれている人を裏切る」と思えるんで。

毎日午後6時に動画を更新しているんですが、更新を毎日にしたのが結果的によかったんですよね。もし週1回の更新やったら、たぶん誘惑に負けて飲んじゃっていたと思います。