ウエルシュ菌が増えるまさかの経路…
では、継ぎ足しカレーを提供する場合、リスクを抑える方法はあるのだろうか。中島氏は、何より「鍋の中にウエルシュ菌を入れないことが重要」と指摘する。
「そもそもウエルシュ菌は、人の腸の中にもいる菌です。手洗いが不十分だと、手から食材や鍋に入ってしまうこともあります。だから、まずは鍋の中にウエルシュ菌を入れないことが大切です。特に、大便の後の手洗いは徹底しなければなりません。
手洗いというと指先を中心に洗う人が多いですが、大便の後に菌がつきやすいのは、親指の付け根や手首、手の甲です。トイレットペーパーで拭くときに、そのあたりがお尻の皮膚に触れることがある。そこを洗い残すと、菌が食材を経由して鍋に入っていく可能性があるんです」(同)
こうしたリスクは、なにも継ぎ足しカレーに限った話ではない。中島氏は、寸胴鍋などで大量に調理する料理全般に注意が必要だと指摘する。
「ウエルシュ菌による食中毒は、季節を問わずリスクがあります。特に寸胴鍋を用いるような、煮込み料理やカレー、ラーメン、鍋料理のように、一度に大量に作って冷めにくい料理では注意が必要です。
ウエルシュ菌は、小腸まで到達してから毒素を出すため、潜伏期間は6時間から18時間ほどあります。食後すぐに具合が悪くなる黄色ブドウ球菌とは違い、原因に気づきにくい面もあるんです。
飲食店側も消費者側も、『火が通っているから大丈夫』『昔からやっているから大丈夫』ではなく、どういう菌が、どの温度帯で、どう増えるのかを知識として知っておいていただきたいです」(同)
長年受け継がれてきた味であっても、食品衛生上のリスクが消えるわけではない。大切なのは、“昔からやっているから大丈夫”“火を入れているから安全”と思い込むのではなく、その味をどう管理し、どう安全に受け継いでいくかだ。老舗の味を守るためにも、見えない菌のリスクに目を向ける必要がある。
取材・文/鮫島りん 集英社オンライン編集部ニュース班 画像/Shutterstock














