「上手いは上手かったけど、別にリピートしたいって気持ちにはならなくって」

「早速、女風のHPで見繕うことにしたんですけど、所属しているセラピストのプロフィールを見ても正直、よくわからないんですよね。みんな同じに見えちゃって選びようがない。

けど、わたしの場合は、嫌だなってタイプは把握できていて、毛深い人とか男くさい人が苦手。だから『毛深くなくって中性的で子犬っぽい、ワンコ系の男の子でお願いします』ってお店にリクエストしたんです。そうしたら20代半ばくらいの若い男の子で普通にイケメンが来ました」

確かに女風のウェブサイトのプロフィールだけで、好みのタイプの男性を引き当てるのはなかなかに難しいとわたし自身、サイトを覗くたびに思う。

顔全体や口元がぼかしで隠されていることも多いし、加工もされている。あれやこれやと比較して選ぶことが好きで、喜びを感じるタイプの女性であれば、写メ日記などの本人発信のコンテンツや、ウェブサイトから個人で発信しているSNSを辿ったりして、誰を指名しようかと考える時間自体が楽しいのだろうけども、それが面倒な作業だとしか思えないタイプにとっては億劫でしかない。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

どこまで理想に近いセラピストを求めるかの兼ね合いになってくるが、美紀の場合は、嫌でなければいいとあっさりと割り切った。

「わたしが予約したのは120分かそこらのコースだったんですが、一応はパートナーに対しても多少は気持ちがあるから、キスはNGにしてマッサージの後に性感してもらいました。

こんな気持ちいいことあっただろうかってほど良かったですね。外イキもできたし、中イキまでできちゃったし、潮まで吹けちゃった。自分では吹いたって意識はなかったけど、『潮、吹いてたね』っていわれて確かにシーツを確かめたらビショビショで」

パートナーとのセックスに対して抱いていたような嫌悪感がなかったどころか、これまでの人生で、一度も感じたことのない強烈な快感を得ることまでできた。

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
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しかしかといって美紀は、そのセラピにハマったわけではなかった。

「上手いは上手かったけど、別にリピートしたいって気持ちにはならなくって。満足して性欲が収まっちゃったっていうか、もともとセックスしたいっていう欲が薄いし、気持ちよかったとはいっても、やっぱり嫌悪感のほうが強い。

それにそのセラピスト、施術の最中はずっとパンツ履いててくれたんだけど、最後の最後に『本番どうします?』って尋ねてきて。もちろん『いや、大丈夫です』って断って、パンツの上から相手の性器を触るくらいで済ませましたけど」

セラピストのテクニックに満足はしたものの、以降、女風を利用することはなかった。

「でもいまだに、彼以上のテクニックを持っているセラピには会ったことがないですね。どこのお店だったかも覚えてないし、名前も忘れちゃったけど、今になって『あれだけ上手だったんだから、もう一回くらい会っておけばよかったな』ってちょっとだけ後悔もあります」

文/大泉りか

『女風に行ったら人生変わった』(鉄人社)
大泉りか
女風に行ったら人生変わった
2026/4/30
1,760円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4865373226

――あの夜、彼女たちは勇気をもって一歩を踏み出した。

トラウマ、孤独、絶望。
誰にも言えなかった痛みを抱えた11人の女性たち。

・「男みたいだ」と言われ続け、自分を否定してきた研究職の女性
・うつに追い詰められ、このまま消えてしまおうとしていたOL
・ときめきを忘れ、ただ日々をこなすだけになっていた60代の看護師――

彼女たちはなぜ、“男を買う”という選択をしたのか。
そして、そのたった一度の経験は、人生をどう変えたのか。

本書は、女性用風俗――通称「女風」をきっかけに、
心と体を解き放っていった女性たちの、性の変革と再生のルポルタージュである。

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