人間と機械をも統合するというマスキズムの野望

2025年3月、xAIはXを450億ドルで買収した――2022年にマスクがTwitterへ支払った額より10億ドルも高かった。ソーシャルメディアとAIを統合し、さらには人間と機械をも統合するというマスキズムの野望を示すものだった。

そしてそれは、文字通りの「機械」でもあった。Grokを動かすために、xAIは2024年にメンフィスのデータセンターで「世界最大のスーパーコンピュータ」とされるものを4カ月のうちに作り上げた。

そのデータセンターが位置しているのは、解放奴隷のためのコミュニティに起源を持つ歴史的な黒人居住区だ。この施設のメタンガスタービンは、喘息、呼吸器疾患、心臓疾患、そして特に子供たちのがんの増加に関連する汚染物質を排出している。

地元の活動家であるケショーン・ピアソンは「ここに住んでおらず、私たちのことを気にもかけていないひとりの権力者の野望のために、私たちの健康を犠牲にするなんて狂っている」と語っている。

「ここはテクノクラート的な妄想を抱く億万長者の利益のための『犠牲区域』ではない」。
しかしマスキズムのもとでは、まさに犠牲となる運命にある。

ウォークはもともと黒人文化に根差した言葉でもある。ウォークネスとの戦争において、現在の人種の序列はさまざまな形で押し付けられていくことになる。

文/クィン・スロボディアン ベン・ターノフ 写真/shutterstock 

マスキズム 新たな独占の時代
クィン・スロボディアン (著), ベン・ターノフ (著), 樋口武志(訳)
マスキズム 新たな独占の時代
2026/5/26
2,200円(税込)
320ページ
ISBN: 978-4868011460

もはや資本主義はマスク主義に変わった!

斎藤幸平氏が解説・絶賛!
「思考を操作されないために、
私たちに残された時間は少ない」

その先にあるのは自由か奴隷化か――
かつて大量生産大量消費の社会システムは、
「自動車王」ヘンリー・フォードになぞらえて
フォーディズムと呼ばれた。
いま、SNS、AI、宇宙、世界経済、そして全人類の脳を
「テクノキング」イーロン・マスクが支配しようとしている。
「マスキズム」という名の新たなシステムは
どうやってできたのか。
私たちをどこへ連れて行くのか。

「マスキズム」の特徴とは――
・自立しようとするほど、
Xやスターリンクなど「マスクのインフラ」への接続が必要になる
・国家と対立するのではなく、一体化して独占を強める
・すべてを技術が統治し、人間と機械が一体化する
・選民主義を生み、排他的な反グローバル主義を加速させる

イーロン・マスク個人についてではなく
「マスクを中心とした社会システム」に
初めて目を向けた全米騒然の話題作が日本上陸!

【目次】
はじめに マスク主義は21世紀のOSである
第1章 選民のためだけの未来主義
第2章 上位集合(スーパーセット)
第3章 サービスとしての主権
第4章 電気的自立(エレクトリック・オートノミー)
第5章 アテンション錬金術
第6章 機械と人間の融合
第7章 ヒトラー化するAI
第8章 Xという名の国家
終章 マスキズムの4つの未来

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