価格高騰の背景に釣りバブルの終焉

また、タングステンを使用していない釣具についても、毎年少しずつ値上げが続き、全体的に価格が上昇している。

「かつてのハードルアーは1本あたり1000〜1500円程度。高くても2000円弱で、1700円の値札を見ると『高いな』と感じた記憶があります。ところが今では、同じようなルアーが2200〜2400円するのが当たり前になってきました。同時期に購入したワームには567円の値札が付いていましたが、現在は通販サイトで771円にまで上がり、200円ほど高くなっています。地味ながら、確実に値上がりしていますね」

SNSでは「お菓子の中身が1個減った」といった“ステルス値上げ”の話題も見られるが、釣具でも同様の事例がある。

例えば、フィッシングフックメーカー・カツイチの「ドロップシンカー」というオモリは、2022年と現在で価格こそ300〜400円と変わっていないものの、かつては7個入りだったものが6個入りに減っている。当然ながら、1個あたりの価格は上がったことになる。

「業界全体の価格帯や市場感覚も、少しずつ変わってきていると感じます。消耗品である釣具にとって、500円の値上がりはインパクトが大きい。もともと500〜600円だった商品が、2〜3年にわたって段階的に値上がりしていくと、気づけば『結構高くなってるな』と感じるようになります」

こうした背景には、物価上昇だけでなく、コロナ禍で発生した“釣りバブル”の終焉があると考えられる。

一般社団法人日本釣用品工業会(JAFTMA)によれば、釣用品の国内出荷額はコロナ真っ只中の2021年に約1791億円でピークを迎えたが、2022年には約1686億円(前年比5.8%減)、2023年には約1491億円(前年比11.6%減)と、2年連続で減少。この落ち込みは2009年以降で最大となった。

2024年の出荷額は1381億3000万円と予測されており、前年比92.6%と、引き続きマイナス成長が見込まれている。

「個人的には『そんなに減ってるかな?』という印象です。というのも、人気の釣り場はいつも混雑しており、そこまでガクッと落ちているようには感じません。ただ、“若者の車離れ”のように、40〜50代など“もともと好きな世代”がそのまま続けていて、新しく若い層が入ってきていないという印象はあります」