国家という巨大な敵に挑む男たちを熱演

──ご自身が演じられたキャラクターについて、どのように解釈されましたか?

織田裕二さん 撮影/石田壮一
織田裕二さん 撮影/石田壮一

織田裕二(以下、織田) 僕が演じる宋江は、ほぼ剣を持たない人物です。表向きは戸籍係として働く下級役人ですが、腐敗した世の中を憂い、自ら筆を執って『替天行道』という世直しの書物を書き、108人の志ある者たちを集めていく存在です。

言葉で人の心を動かす力はあるけれど、戦場に立てば戦力にならない。いわば「筆が剣の代わり」という存在です。平和で、何気ない小さな幸せを望んでいるのに、その“普通”が通用しない世の中になってしまった。怒りや虚しさ、諦めきれない思いが重なって、あの書物を書くわけです。

だからこそ、彼の中には常に矛盾がある。国を倒すということは人が死ぬということでもあるわけです。「林冲、死なないでくれ……でも危険を冒してスパイとして探ってきてくれ」みたいな感じで、言っていることはめちゃくちゃだけど(笑)、本当は敵も味方も死んでほしくないんです。どこかで周囲に甘えている部分も含めて、宋江は“感謝の人”だと思っています。

反町隆史(以下、反町) 民衆の支持と圧倒的な武勇で“托塔天王”の異名を取る晁蓋のドラマは、「『替天行道』を書いた人物がどんな男なのか」という興味から始まるんです。会う前は警戒心もあるけれど、実際に人格者である宋江と対面したときの喜びは大きい。

そこから新たな道を共に歩むことになるので、晁蓋としては強さだけでなく、人に対する思いやりや懐の深さを持ったリーダーシップに重きを置いて、ひとつひとつのシーンで丁寧に表現しようと思いました。

亀梨和也(以下、亀梨) 林冲は槍の名手で、圧倒的な強さを持っていますが、その中にある細かい心中の揺れや優しさ、柔らかさを大切にしました。

この作品は登場人物が多いのですが、無駄な人がひとりもいない。まさに適材適所で、それぞれが自分の役割を全うしているんですね。林冲自身も、誰かを動かすより自分が前に出て役割を果たすことで、それが生きがいと感じたり、落ち着くタイプ。

役割を与えられるだけじゃなく、自ら切り開いていく十人十色の生き方が描かれていて、その多様さこそが、この時代の強さだと感じながら演じていました。

織田 登場人物はみんな、何かしらの傷を抱えているよね。大きな戦いと、個人個人の戦いがある中で、とにかく宋江は「死ぬなよ」と、(『巨人の星』の)星飛雄馬の姉のように人の心配ばかりしているんです(笑)。

亀梨 そうですね、僕たちはひとりひとり立っているんだけど、互いに思いやりを持って、横のつながりで支え合っている。一方、権力側の人間は大きな国を支えているのに、個々が欲望で動いて自分の利益ばかり考えているから小さく見えてしまう。その対比がすごく印象的でした。