リアリティを追求した過酷な撮影現場
──撮影中、大変だったことや挑戦は?
織田 いやもう、多すぎちゃって(笑)。まず登場人物が多く、俳優さんの役名や読み方を覚えるところから大変でした。やっと覚えた頃に「次の撮影までに3週間空きます」と言われたりして。「ほかのみんなは京都に行って、別のシーンを撮っています」とか。
反町 そういうことは結構ありましたね。
織田 その間、役に入り込んだままキープするというのも難しいなと。だから途中からは細かい役作りをやめて、「宋江は俺だ!」と思って臨むことにしました。違っていたら周りのプロが教えてくれるだろうと信じて。
そもそも最初に話を聞いて、こんな108人の英雄のそれぞれが主役みたいな話を、どうキャスティングするのかなと思ったよね(笑)。
反町 人数が多いから共演シーンがないとか、劇中で出会わずに亡くなってしまうキャラクターもいますよね。
織田 違う作品の現場で、「実は僕、『水滸伝』に出させていただいてます」と言われて、「ああそうだよ、俺たち今一緒にやってるんだよ」ってなったり(笑)。現代劇になると一瞬、分からないこともある。
反町 僕はやっぱり洞窟のシーンが、すごく思い出深いですね。真っ暗な中での撮影が何日も続いて。初日に撮影した雪山のシーンもきつかったけど、2日目の洞窟はさらにきつかったですね。
織田 ずっと真っ暗な洞窟の中で話をするシーンの撮影は、絶対忘れないな。
反町 でも、最初にそれを乗り越えたことで、チームとしての一体感が生まれたのかなと思いますね。
亀梨 僕はみなさんと交流する前の序盤のシーンがすごく印象に残っていて。事を動かすための重要な任務を林冲自身が担っている中で、雪山や牢獄のシーン、あの一連の解放されるところまでも含めて、後にも先にもなかなかないような経験をともにさせていただいたなと思います。
──映像を拝見しましたが、精神的にもかなりつらそうなシーンが続きました。
亀梨 いやもう、本当にそうでした。自然の厳しさの中で、監督に「叫べ! 叫べ!!」とか言われて、僕は「うわー!」とか叫んだりして……。
織田 何の話だよ(笑)。
亀梨 なんか今、あの時のつらさを思い出しちゃって(笑)。
織田 整理すると、深い新雪の中を、ずっと人を担いで歩かなきゃいけない上に、それを監督が地獄の8分間長回しするんですよ。本編に使われるのは3秒ぐらい?
亀梨 最終的に全カットだったら泣きますけど(笑)。
織田 若松さんは、俳優が本当に苦しくなるまでカメラを回すってことを、たまにやるんですよね。林冲を超えた亀梨さんの限界を見せろ!って感じで(笑)。
亀梨 林冲が何日かぶりに水を飲むシーンでは、雰囲気を出すために実際に塩水を使ってやってくださいと言われて。僕もスタッフさんに「ある程度、塩を感じたい」とお伝えしたのですが、本当にえげつない塩の量で。
あのシーンではリアルにむせているんですよ。多分人生でこれ以上、塩辛いものは口にしないだろうなって。その辺の序盤のシーンは、実際に僕自身の、ほぼドキュメンタリーです(笑)。
織田 小道具ひとつとっても、スタッフはこだわりを持っていて。中国まで買い付けに行ってそろえていたし、カメラマンは毎日がクライマックスの撮影であるかのように気合いが感じられました。食事のシーンでは、実際に食べても美味しい中国の昔の料理が、たとえカメラに映らなくても用意されていて。
本当に細かいところまで目が行き届いていた。ロケーションも含めて、そういったリアリティ、本物志向は映像から伝わるだろうし、お芝居にもすごくいい影響をもたらしていると思います。
取材・文/今祥枝
撮影/石田壮一













