全体の3割は赤字という窮地に立たされた運営会社

施行件数が減る結婚式場の多くは、急場を凌ぐように婚礼単価を引き上げている。業界最大手のテイクアンドギヴ・ニーズは2024年度の単価が2.3%増加して400万円を突破した。ツカダ・グローバルホールディングも2024年度は6.8%増えて同じく400万円を超えている。

婚礼単価はゲストの人数を増やして引き上げるのが王道だが、披露宴の少人数化がトレンドとなっている今、単価をアップし続けるのは難しい。帝国データバンクの調査によると、結婚式場の3割は赤字だという。結局のところ、コストアップ分を価格転嫁できない運営会社が大半なのだ。

さらに結婚式場は特殊な会場設計になっているため、施設を別の用途に転用することが難しい。駅から離れた郊外型の結婚式場も多く、企業宴会の獲得やレストラン営業も容易ではない。これがホテルとは異なる点だ。

つまり、結婚式場の建て替えを行なわないかぎり、ブライダルビジネスの十字架から逃れることはできないのだ。

2026年以降、結婚式場が進む道は3つに集約される可能性が高い。1つ目はこれまでの経営スタイルを貫く道。2つ目はスマ婚のように低価格、わかりやすさでコスパ重視のニーズを拾う道。3つ目は新郎新婦が思い描くオリジナルウエディングの実現へと徹底的に振り切って数から質への転換を図る道だ。

3つ目のオリジナルウエディングは、1987年以降に生まれた「ゆとり世代」が結婚適齢期を迎えた2010年代にトレンドの1つになった。この世代は個性を重視し、独創的なアイデアを持ち、異なる意見を尊重する一方、自分のビジョンやイメージを押し通そうとする姿勢が強いと言われている。

個性的な結婚式のイメージ(写真/shutterstock)
個性的な結婚式のイメージ(写真/shutterstock)

テイクアンドギヴ・ニーズは、新郎新婦の希望に完璧に沿った結婚式をプランニングする「オートクチュールデザイン」を2011年に立ち上げた。オリジナルウエディングを専門的に扱う株式会社CRAZYの設立が2012年である。しかし、このニーズの変化に適応できた会社はわずかだった。

新郎新婦からのヒアリングを通して結婚式のテーマを見出し、会場装飾のデザインやオリジナル料理をプランニングすることなど、ごく一部のプロフェッショナルしかなしえないからだ。