人は自分を信頼してくれない人のためには働けない

筆者は、「(以前の取材時に)第一次政権の挫折後も支え続けてくれた人、ということで(官僚の)今井(尚哉)さんや長谷川(榮一)さん、北村(滋)さんらの名前を挙げていたのが印象的でした。それほどの味方を作る、関係性を築くには何が大事なのですか」ともたずねた。すると、安倍はこう答えている。

〈それは信頼することですね。人は自分を信頼してくれない人のためには働けない、心血を注げないですよね。やっぱり、昔の武将でも、自分を信頼して、ある意味自分のために死ぬ覚悟をしてくれる人のために、命を懸けます。

だからそれぞれ、みんな、自分の役人人生の頂点を極めるというような目標を捨てて、私と一緒に国のために尽くしてくれたんですよね。

それは私も(そうですが)、総理大臣一人の力っていうのは、権限はあっても小さなものですから。やっぱりチームで事に当たらなければならない。

自分に足りないところはたくさんあるんだけれど、それはチームであれば、優秀な人が来れば、補ってくれるんですよ〉(同)

この時の総裁選で高市は岸田に敗れたが、2025年10月4日、三度自民党総裁選に出馬した高市は勝利をおさめ、10月21日、総理大臣に指名された。自民党総裁、日本国総理大臣、いずれも女性初の就任となった。

トランプ「彼はあなたについて褒めていた」

「安倍路線の継承」を掲げる高市総理の誕生に、早くも再び安倍時代の言論状況が復活しつつある。

総理就任間もない10月28日、高市はトランプを日本に迎えての初の日米首脳会談を行った。高市はトランプに、安倍夫人の昭恵から譲り受けた安倍が生前愛用していたゴルフクラブ(パター)を贈呈している。

日米首脳会談でトランプは〈「私たちが会うずっと以前から、彼〔安倍氏〕はあなた〔首相〕について褒めていた」と語り、「質問や疑念、要望がある時、できることがあれば力になる」〉とも述べたという(2025年10月28日付、朝日新聞デジタル)。

安倍晋三さんが高市総理に託していた“意外なリーダー論”の真意「私が支えられている理由は、私が足りないからでしょうね」_3

トランプ来日時の日程や報道、SNSでの論戦は、まさに安倍・トランプ時代の日米関係を再現するかのようだった。

迎賓館でトランプを迎えた高市は、笑顔でトランプと握手を交わし、アメリカ側からの申し出で米軍ヘリ「マリーン・ワン」にトランプと同乗、横須賀基地の空母「ジョージ・ワシントン」に降り立つと、米兵の前で両者・両国の友好をアピールした。

高市が片手を挙げてくるりと回りトランプの呼びかけと米兵の歓声に応えると、トランプは高市の肩をぐっと引き寄せた。これに対し、高市は満面の笑顔でサムズアップを決めている。