恋に飽きる速度は「10年」
1回目の結婚は20歳のとき。お相手は1歳年上の美容師さん。出会いは大塚にある行きつけの喫茶店だった。
「ナンパしたんですか?」と聞くと、
「違うよ! 俺が色男だから、あっちが誘惑してきたんだよ‼」と、なぜか誇らしげに語る。横並びの席で映画の話で盛り上がり、その流れで池袋の映画館へ。そこから一気に恋が進み、半年後には彼女の「一緒に住もう」の一言でそのまま入籍に至ったという。
「素朴な子でさ、まだ20歳の兄ちゃんだった俺は、何も考えずに嫁のペースで進んでいったよ。まあ1人が2人になっただけで生活自体はたいして変わらない。『結婚ってこんなもんか』って感じだったな」
やがて2人は大塚に理髪店を開き、男の子にも恵まれた。しかし、順風満帆に見えた結婚生活は10年で終了することに。その理由について、山ちゃんは淡々と言う。
「浮気相手に子どもができちゃってさ。それを嫁に言ったら『そうですか。じゃあその人と一緒にどうぞ。ただし理髪店は私がもらうから』って言われて」
こうして山ちゃんは、理髪店も財産もすべて置いて、身一つで家を出た。
30歳にして2回目の結婚のお相手は、浮気相手だった4歳下の女性。「小柄でキュートな子だった」といい、男の子にも恵まれたが、この結婚生活もまた10年で終了する。離婚理由を尋ねると、山ちゃんは妙に清々しい表情で、
「正直、『飽きた』の一言なんだよ」
と断言。
「5年目までは新鮮な気持ちで過ごせるんだけど、そこを過ぎると急に味気なくなってきて。どうでもよくなって家にも帰らなくなるし、喧嘩も増えたりして、結局、別の人に走っちゃう。俺にとって恋愛や夫婦の賞味期限は10年。それ以上は限界だな」
その頃、妻から「田舎の札幌に帰りたい」と言われ、山ちゃん自身も札幌は大好きだったものの、「付いていく熱量はもうなかった」といい離婚することに。
こうして40歳で2回目の離婚を経験した山ちゃんだったが、彼の人生には、まだ3回目のドラマが待っていた。















