高市さんは政治と金の問題から逃げた
──高市首相を支持する保守層の期待が膨らみ過ぎている?
我々もちょっと混線していると思うのですが、安倍晋三さんの頃を見てもわかるように、経済政策は新自由主義ですよ。グローバリゼーションを推進し、人、モノ、金を行き交わせて自由な市場の競争を促している。
一方で国防のあり方は保守です。日本も憲法を改正して防衛力を身につけ、集団的自衛権を含めて戦うんだというふうに、2015年に集団安保法制を作っちゃった。改憲が難しいから解釈で憲法を変えたわけです。
だから国防のあり方は右、そして経済政策は右でも左でもない。そこでねじれているんです。いろいろジレンマがありながらも、高市さんは保守層が喜ぶことだけじゃなく、選り分けてうまくやっていくと思います。
ただ、僕がひとつ高市政権に物申したいのは「政治と金」の問題。棚上げにしていますよね。なぜ企業団体献金の禁止や規制を強化しなきゃいけないかといったら、自民党には全国津々浦々に政党支部という第二の甘い財布があるからです。
地方議員であっても、国政を司っている国会議員であっても、全国に政治家個人の政党支部という甘い財布が8000弱あるんです。
実態として人間が来ないパーティも含め、企業や団体にパーティ券を購入してもらい、献金が回り回ってその財布に入っていく。そこが選挙活動を下支えする原資になっていきます。組織票をしっかりと取れれば、自民党は人気がない政治家でも選挙に受かるわけです。
財界からの献金が政治を支えているわけですから、既得権政治、利権政治が変わるわけがない。高市さんは入り口で政治と金の問題から逃げちゃったわけです。世の中を変えていきたいならば、ここは絶対に忘れてはいけないこと。
僕はアメリカがいい国だとは決して思いませんが、アメリカのやり方は日本とまったく違います。
例えば30年前にアメリカで一世を風靡していた企業ジャンルが、今受けていますか? 違いますよね。ITからAIの時代になり、シリコンバレーを盛り上げて世界を席巻しています。
日本はいいも悪いもそうじゃない。相変わらず経団連があって、重厚長大産業があって、そういうところは護送船団方式で政府や官僚と一緒に守られているわけです。なぜ経団連が消費税を支持するかというと、法人税減税とセットだから。
嫌でもアメリカにならって企業の新陳代謝をはからないといけない。企業団体献金を通じた自民党と大企業の馴れ合いの関係を断ち切ることが、一番の成長戦略ではないでしょうか。
いろんな企業のロビイストが国会議員として送り込まれているわけだから、整理整頓していかないと新しい産業は勃興しないし、新しい時代は訪れません。そこをやってくださいよ。このことは批判されてもしつこく言い続けなければいけないと思っています。













