高市首相は仕事が楽しくて、解散まで頭が回らない?

日中対立が深刻化するいっぽうで、勢いづく“高市人気”。ただ、総務相時代の“電波停止発言”をはじめ、高市総理の国会答弁は、これまでも物議を醸してきた経緯がある。

「今後も何があるかわからない。だからこそ、衆院解散は早いほうがいい。年末か、来年1月の通常国会の冒頭解散に踏み切れば、高支持率を背景に、与党で過半数をとれる可能性がある。安定多数をとった上で、来年度予算の審議をしたほうが絶対いい」(前出・重要閣僚経験者)

国会議事堂(PhotoAC)
国会議事堂(PhotoAC)

高市政権の発足後すぐに、囁かれてきた早期解散論。ただ、自民党内ではここにきて、「来年度予算成立後の来年4月の解散説」や「6月解散説」も浮上している。

「高市さんは支持率を含めて、予想以上に自分の思ったとおりになっていて、仕事が楽しくなってきている。そうなると、解散にまで頭が回らないということもある」(自民幹部)

確かに、高市総理は「日本版・政府効率化省(DOGE)」と呼ばれる「租税特別措置・補助金見直し担当室」の設置や、外国人の帰化要件の見直し方針をはじめ、矢継ぎ早に“肝いり政策”に取り組んでいる。

とはいえ、長期政権を目指すためには、衆院解散総選挙で勝利し、求心力を高めることが不可欠。これまでに菅義偉政権や麻生太郎政権下でも、早期解散論が浮上したものの、踏み切れず、短命政権に終わってしまったと指摘されている。

高市内閣(首相官邸Xより)
高市内閣(首相官邸Xより)
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「政局への嗅覚が鋭かった安倍(晋三)さんと対象的に、高市さんは昔から“政策の人”です。どちらかというと、政局への関心が薄いのが懸念材料です。安倍政権で総理秘書官を務めた今井尚哉氏が高市政権で内閣官房参与に就任していますが、政局面でのアドバイスを積極的にするようなスタンスではないと聞きます。この先、支持率は下がることはあっても、上がることは考えづらいのだから、やはり早期解散が望ましい」(自民重鎮)

中国との“火ダネ”を抱えるいっぽうで、高支持率に沸き立つ高市政権。政権の命運を左右する、解散戦略はどうなるのか。「日中対立」を解決し、同時に自身の立場を盤石なものにできるか。高市総理の決断はいかに――。

取材・文/河野嘉誠 集英社オンライン編集部ニュース班