「反日感情が高まれば中国在留邦人の生活は緊張に包まれる」
中国の強気の背景には習近平主席が10月30日にトランプ米大統領と韓国で会談を行なった感触から、米国が日本の肩をもたないと見越しているからだとの見方もある。実際トランプ氏は薛剣総領事の発言を批判することはなく、今回の問題が勃発した後も米国は『中国とはうまくいっている』と発言している。
いっぽうの高市首相も、自分の発言は「政府の従来の見解に沿ったもの」と述べ、中国の撤回要求に応じない構えだ。朝日新聞が今月15、16の両日に行なった世論調査で内閣支持率は10月の発足直後より1ポイント上がって69%と歴代屈指の高さになった。対中外交は政権への支持にダメージを与えるどころか追い風になっていることがうかがえる。
今後、中国はどこまで強く出るのか。22日から北京で予定していたフォーラムを、共催する中国側からの申し入れで延期した非営利団体「言論NPO」は、今回の中国の反発は2012年に沖縄県・尖閣諸島を日本が国有化した時よりも「はるかに強いメッセージがある」と指摘した。
尖閣国有化の際は中国国内で暴力的な反日デモが発生した。
「中国政府は近年、デモが反政府行動に変化することを恐れており、反日が理由でもデモを認めたり主導したりする可能性は高くない」(外報部記者)との見方もあるが、デモの有無に関係なく反日感情が高まれば、中国在留邦人の生活は緊張に包まれる。
対立は話し合いで収めるしかないが、そこに至るまで中国政府は日本にいる中国人の安全を心配するのと同様に、在中邦人へのリスクが高まらないよう神経をつかうべきだろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













