不安と無縁でいられる、ただひとつの秘訣

想像してみてほしい。あなたが朝寝坊して駅まで全力で走っているとき、友人との些細な言い合いや仕事のちょっとしたミスについて悩むだろうか。悩まない。脳裏を掠かすめもしないだろう。とにかく電車に飛び乗らなければならないのだ。

不安が忍び寄るのは心に余白があるときだ。では余計な不安を排除するにはどうしたらいいのか。そう。動けばいい。何かに没頭していれば不安は消滅する。

実は僕はこう見えて人一倍、心配性だ。特に学生時代はちょっと何かあるたびにいちいち悩んでいた。そうした性分はいまでも大して変わらない。油断すると些細なことが不安の種となって芽生えてしまう。

だから僕は毎日みっちり予定を詰め込んでいる。朝から晩まで仕事と遊びに励み、身も心もエネルギーを使い切って眠りにつく。不安が入り込む余地はゼロだ。毎日なんの憂いもない。刺激的で新しい景色がどんどん拓ける。

そもそも私たちは正解のない事柄に対して不安を抱く。転職や就職においてその判断は適正だったのか。今日の交渉相手に提示した条件はあれでよかったのか。大病を患ったら残された家族はどうなるのか。自分の老後の暮らしは大丈夫だろうか。でもいくら悩んだところで答えなんか出ない。神のみぞ知るだ。

どんな天才でも未来は予知できない。過ぎ去った過去もどうにもならない。僕の将来もあなたの将来も不確定要素に満ち満ちている。悩むだけムダである。

そして何より不確定要素はネガティブ要素ではないのだ。むしろ不確定だからこそ可能性がある。希望がある。つまり不安はもっとも非生産的な感情である。何も生まない。不安にとらわれる人生なんて虚しい。そんな暇があるなら前に前に進もう。

特に夜は不安になりやすい。部屋でひとりでいると刺激らしい刺激がない。その隙に不安が入り込む。自分はこの先どうなるのか。このままでいいのだろうか。生きるってなんだろう。そんな取りとめもない思いに沈んでしまうのはだいたいが夜である。

不安に駆られた夜、なかなか寝付けない夜はいちどベッドから出よう。そしてこれまで手つかずだった雑用でも片づけよう。まさに絶好の機会だ。メールの返信、トイレや浴室の掃除、机の片づけ。そうして動いているうちに不安は消えている。そんなものだ。

貪欲な行動こそが不安と無縁でいられる秘訣だ。実りある人生もまたしかりである。


文/堀江貴文 写真/shutterstock

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■多動力とは、すなわち「他動力」だ
■睡眠時間は死守しろ
■「短時間仮眠」で脳にレバレッジをかけろ
■成功者の朝が早い理由
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気合いや根性は邪魔だ。必要なのは合理性である。

目次
第1章 「体力」こそ正義

 ――なぜ体力がすべてを決めるのか
第2章 「行動力」のつくり方
 ――「量」を制する者が「質」を制する
第3章 「やる気」のつくり方
 ――モチベーションはあとから湧いてくる
第4章 「体力回復」の大鉄則
 ――食事&睡眠に命をかけろ
第5章 「体力」のつくり方
 ――日常のひと工夫であなたは激変する
第6章 「他動力」のつくり方
 ――お金とテクノロジーに働かせよう
第7章 人生の賞味期限は短い
――「体力」という最強の資産を築け

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