自民の協力が得られないなら苦戦は間違いない

自公連立の時代、長年にわたって北海道では衆院選の1選挙区だけを公明が立てて、その選挙区は自民が擁立を見送って支援に回る。逆に残りのすべての小選挙区は自民候補を公明支持者が支援するという「北海道方式」が定着していた。

連立関係が終われば、こうした選挙協力も当然白紙になる。他にも、現在の斉藤代表の地盤である広島3区もすでに自民候補が臨戦大勢だ。斉藤氏も「自民が出るならとても勝ち目はない。自民の助けもなしに小選挙区でうちは戦えない」と周囲に打ち明けているという。

次の代表が有力視されている岡本三成政調会長の東京29区、前の代表で前回落選した石井啓一氏の埼玉14区も同様に厳しい。

「二人ともこれからの公明には必要な人材だ。比例区に鞍替えさせるしかないだろう」(創価学会幹部)という見立てだ。

「常勝関西」といわれた大阪・兵庫も事情は同じだ。もともとは小選挙区で大阪4、兵庫2の計6つの議席を持っていた。しかし、前回の2024年衆院選で大阪は維新に全敗、兵庫はかろうじて2勝したが、自民の協力が得られないなら苦戦は間違いない。

小選挙区は現有維持の4議席がやっと

もともと、2024年の衆院選では11選挙区のうち、4選挙区しか勝てなかった。小選挙区は現有維持の4議席がやっとだろう。

こうした現状を長年、選挙に関わってきた関西方面の元公明市議会議員はこう説明する。

「小選挙区は大阪1、兵庫1に絞って必勝を目指すしかない。学会員が高齢化していて、手足になって動ける人が圧倒的に足りないのが現状だ。宗教3世となるいまの若い世代は手弁当での選挙応援なんてやってくれない。私たちの若い頃とは違う。これからの選挙は毎回票を減らしていくだろう」と悲壮感を漂わせる。

公明党本部
公明党本部

こうした「落日」は党機関紙の公明新聞にも当てはまる。ただ、野党転落をきっかけに、政権批判を強めることで存在感を高めようともしているようだ。

公明党が連立離脱を高市総理に伝えた翌日(10月11日)では、1面トップでこう報じた。

「公明、連立政権に区切り」
「『清潔政治』の党是貫く」

10月24日の紙面では自民と日本維新の会が交わした連立政権合意について、横カットで以下のような見出しが並んだ。