エリック・ルー、師のダン・タイ・ソン以来45年ぶりの『ピアノ協奏曲第2番』で優勝!
ショパン・コンクールの本選は10月18日から20日まで行われ、6位までの入賞者が決定した。優勝は2015年の4位、アメリカのエリック・ルー(Eric Lu)、第2位はカナダのケヴィン・チェン(Kevin Chen)、第3位は中国のワン・ズートン(Zitong Wang)。4位は同率で、中国の16歳リュー・ティエンヤオ(Tianyao Lyu)と日本の桑原志織。
リューは協奏曲賞も獲得した。5位も同率で、ポーランドのピオトル・アレクセヴィチ(Piotr Alexewicz)とマレーシアのヴィンセント・オン(Vincent Ong)。第6位はアメリカのウィリアム・ヤン(William Yang)。日本期待の進藤実優は入選に留まった。
コンクールの「キング・メーカー」ダン・タイ・ソンは、2015年、2021年に次いで門下から複数の入賞者(エリック・ルー、ワン・ズートン)を出したことになる。ちなみに第2位のケヴィン・チェンはプライヴェートでクシシュトフ・ヤブウォンスキに、4位のリュー・ティエンヤオはポズナン音楽院でカタジーナ・ポポヴァ=ズィドロンに師事している(審査員は自分の生徒には投票できない)。
今大会から、各賞は3人ずつ候補を出して討議するシステムに変わったという。その結果、マズルカ賞はセミファイナリストのイェフダ・プロコポヴィチ(Yehuda Prokopowicz)【ポーランド】、ポロネーズ賞はファイナリストのリ・ティエンヨウ(Tianyou Li)【中国】、バラード賞は2次予選に進出したアダム・カウドゥンスキ(Adam Kaldunski)【ポーランド】が獲得した。今回の本選は、1番か2番の協奏曲のほかに、晩年の傑作『幻想ポロネーズ』が必須課題となった。協奏曲は若い時期の作品のため、音楽性、精神性を判断する材料が必要ということらしい。準備の都合上、オーケストラが位置についたままでの演奏となり、なんだかアンコールを先にやっているような不思議な感じだった。
審査表が公表されるまで詳細は不明だが、採点方法の変更も、順位に大きく影響したのではないかと思われる。最終順位決定に当たって、本選の配点は35%しか反映されず、第1次10%、第2次20%、第3次35%と、過去のラウンドでの評価も加味される。発表された結果は本選での印象と必ずしも一致しなかったが、採点方法の変更と関わりがあるのだろう。それにしても釈然としない。演奏順にも改変があった。
従来は開始するアルファベットが決まるとそのままだったが、今回は、各ラウンドで6文字ずつずらす方式に統一された。いつもトップとか、午前中一番とか、不公平にならないようにとの配慮らしい。しかし、組み合わせによっては出番まで時間があいたり、前のラウンドが終わってすぐに次のラウンドが来たり、混乱するコンテスタントもいたようだ。














