校長との連携が学校経営のカギ

副校長・教頭の多忙化の実態について、神奈川県の公立小学校で教頭と校長を務めた経験があるという60代の男性は次のように話す。

「校長が積極的にいろいろな職務を担当する場合もあれば、教頭にほとんど任せてしまう場合もあります。10校あれば10通りの運営・補佐の仕方がありますが、あまりに教頭に仕事が集中するときつくなります」

この男性は、教育委員会から来る調査の対応や保護者からのクレーム対応などに加えて、「交通安全についても、勤務時間前に管理職が横断歩道に立つことも多かった」と話す。

写真はイメージです(PhotoAC)
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千葉県の公立中学校で教頭を務める40代の男性は次のように話す。

「教頭は部活の大会の応援に行くので、土日も稼働します。加えて地域のお祭りなどは基本的にすべて回ります。さらに、そこで生徒が参加するような場合は、参加希望者を募ったり、当日の早朝に点呼をとったりするのも教頭の業務です。『働き方改革』で、逆にこういう業務をほかの教員に振れなくなってしまったんです」

精神疾患で休職する教員が過去最多となったが、副校長・教頭も例外ではないという。稲積会長によれば、休職している副校長・教頭もかなりいるそうだ。

「休職の理由としては、小さな範囲だと『仕事が終わらない』というものです。あとは人間関係です。職員同士の関係が悪くなると、その間に立つのは副校長・教頭なので」

写真はイメージです(PhotoAC)
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前出の60代の男性は、教頭時代に校長からパワハラめいた言動を受けたこともあると打ち明ける。

「地域と校長の折り合いが悪く、板挟みになったことや、指導・監督が難しい職員に対して自分が対応することがあったのですが、なかなか改善が見られないばかりか反抗的な態度をとられることもありました。その際、校長から教頭の立場を理解しアドバイスをいただけることもあれば、厳しい言葉を言われることもあり、『自分のことを思ってくれている』とわかっていてもつらいときがありました」

写真はイメージです(PhotoAC)
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