「もののけ姫」なぜいま映画館で?
宮崎駿監督(※)が原作・脚本・監督を務め、1997年に公開されたスタジオジブリの長編アニメーション作品『もののけ姫』。当時の興行収入は193億円(興行通信社調べ)で、それまでトップだった『E.T.』を超えて日本歴代興行収入第1位の記録を樹立した。(※宮崎駿の「崎」は「たつさき」が正式表記)
その後、コロナ禍の2020年に映画館で再上映され、興行収入は201.8億円に達している。そしてこのたび、豊かな色彩表現や臨場感あふれるサラウンドシステムを使ったIMAXで上映されることになった。
日本を代表するスタジオジブリの作品がなぜ今になって、IMAX上映されることになったのか。吉田氏は「今回の4Kデジタルリマスター版のIMAX上映は、北米での公開を契機として始動したプロジェクト」と話す。
北米での配給を担当したGKIDSは、東宝のグループ会社。GKIDSがスタジオジブリに対して、強い働きかけを行ったのが企画のスタートだった。
「スタジオジブリ側も、『もののけ姫』に限らず、フィルムで制作された過去の作品をアーカイブの観点からデジタル化する必要性があると感じていらっしゃっていたと聞いています。そうした背景のもと、GKIDSからの提案を受けて、取り組む価値があると判断されたようです」(以下、吉田氏)
スタジオジブリ作品では、2023年公開『君たちはどう生きるか』でIMAX版が同時公開されたが、旧作品におけるIMAX版公開は『もののけ姫』が初めて。『もののけ姫』が選定された理由について、吉田氏は「技術的なことはあるとは思いますし、あくまで推測の域を出ませんが」と前置きした上で、次のように語った。
「なぜ数ある作品の中から『もののけ姫』が選ばれたのか、正確な理由は伺っておりません。ただ、2020年のコロナ禍において、スタジオジブリ作品4本を再上映したのですが、私どもがスタジオジブリを訪問し再上映のお願いをした際に、『もののけ姫』は特別な作品とおっしゃっていました。200億円近い興行収入を記録し、スタジオジブリが大きく飛躍する契機となった作品であると。今回のIMAX版も、同様の意味合いで重要視されたのではないかと思います」
北米では、2025年3月26日(現地時間)よりIMAXシアター約350館にて公開。約350スクリーンでの上映にもかかわらず、週末3日間で約380万ドルの興行収入を記録し、同週末のランキングで6位に入った(「Box Office Mojo」調べ)。
「IMAX版は1週間限定で上映され、2週目以降は通常のシアターにて4K版が上映されましたが、10億円近い興行収入を達成する大ヒットとなりました。改めて、スタジオジブリ作品および『もののけ姫』の持つ力を認識しました」













