白タク? 民泊? 晴海フラッグでは日常的なのか 

現地を訪問して驚いたのが、取材を開始して1時間も経っていないにもかかわらず、民泊の客を送迎しているとみられる白タク風の国産高級ミニバンやスーツケースを転がす中国人観光客、違法駐車された高級外車など、これまで種々のメディアで報じられてきたような光景を目にしたことだ。

言うまでもないが、民泊は管理規約上禁止されており、そもそも白タクは違法だ。もっとコソコソ隠れてやっているのだろうかと想像していたが、あまりにも日常に溶け込んでおり、拍子抜けするほどだった。

もちろん、住民側もこうした違法行為が横行していることを問題視している。しかし、住民の男性によると、「怪しい車を見つけ次第、警官を呼ぶようにしているが、『友人の家に泊まりに来ただけだ』と言われると警察側もそれ以上介入できず、事実上野放しになっている」とのことだった。

写真はイメージです
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道に落ちている犬の糞 

中国には「上に政策あれば下に対策あり」という言葉があるように、ルールは破るものだという意識が強い。新築マンションの抽選でも、違法民泊の締め出しでも、性善説を前提としたルール運用が限界となっていることは明らかだ。

また、無法ぶりを示す現象のひとつが、道に落ちている犬の糞だ。まだ新しく綺麗な街であるにもかかわらず、地面をよく観察すると、放置されて乾いた犬の糞や、地面にこびりついた形跡があった。

小型犬を散歩させていた女性に話を聞くと、「中国の方は片付けない人が多いし、日本語もわかっていないのか、注意しても無駄なので諦めている」と、ため息とともに愚痴をこぼしていた。

マナーや文化の違いといってしまえばそれまでだが、晴海フラッグの現状は、外国人移民が増える今後の日本において起こり得る摩擦のモデルケースのひとつだろう。

なお、確かに中国人の存在感を感じる晴海フラッグではあるが、前述の男性も、犬の散歩をさせていた女性も、住み心地そのものには満足しているようだった。

最寄り駅である勝どき駅までは徒歩15分とやや距離があり陸の孤島感はあるものの、新橋や虎ノ門につながるバス高速輸送システム(BRT)の停留所が近いこともあり、都心への距離感はあまり感じない。

大企業のサラリーマンや会計士など高所得で同質性の高い集団が固まっているためか、小学校も荒れておらず、近隣エリア内で放課後の塾やサッカーやバレエなどの習い事が完結することも、子育て世帯にはちょうど良いのだろう。

小学校には中国人の子弟もいるが、日本人に交じってきちんと授業を受け、放課後は一緒に塾に通っているという。晴海で我々が目にする光景はチャイナタウンというよりは、近未来の日本の光景なのかもしれない。

文/築地コンフィデンシャル