ランニングは一石三鳥のトレーニング
ここでは僕の経験をもとに、心と体の「限界の外し方」を話していきますが、すべての基本であり、一番大事なトレーニング方法は、ランニングです。
昭和から平成、そして令和へと時代が変わり、トレーニングに対する考え方も変化してきているせいか、20代の後輩を見ていると、自分から進んで走ろうとする選手はほとんどいません。基本的にみんな、走ることが好きではないようです。
しかし僕にとって、トレーニングの基本はランニング。走ることには、一石三鳥の効果があると思っています。
一つ目に走ることで、まずは持久力がつきます。スキージャンプは例年、11月の終わりから翌年3月末までの4ヶ月が冬のシーズン、7月から10月にかけての3ヶ月が夏のシーズン、そしてシーズンオフも合宿を行なうなど、「年間を通して戦う持久力」が必要です。毎日、朝晩走ることで、50代でも持久力を維持できている実感が、僕にはあります。
二つ目に減量の効果があります。先ほども述べたように、年齢とともに基礎代謝は低下していくので、食事を抜いたり、食べる量を減らすだけでは体重が落ちなくなってきます。
余分な脂肪を燃焼させるためには、「エネルギー摂取量の制限」プラス、「一定時間の有酸素運動」が必要になります。僕の場合は季節も天候も問わず、いつでもサウナスーツを着て走っているので、大量に汗をかくことができます。脂肪を燃やして、老廃物も排出され、肌もきれいになります。
そして三つ目が、メンタル面での効果。ランニングの一石三鳥の効果の中で、これが一番大きいと思います。毎日のランニングはもちろん、ジャンプの試合の前にも、僕は必ず走ります。走ることでコンセントレーションが高まり、自分がどういうジャンプをしたいのか、そのイメージが鮮明に浮かんでくるのです。