地方との“緩い繋がり”が東京の一極集中化を解消するのか? 

石破首相は2015年に地⽅創⽣・国家戦略特別区域担当⼤⾂として、「地⽅創⽣の課題と展望」をテーマに講演を行なっている。そこで明かされた内容は衝撃的だった。

当時、推計されていた出生数・死亡数が今後一定で推移した場合、2100年には人口が5200万人まで減少し、地方では高齢者人口までもが減ってしまうことなどが示されている。この中で、東京一極集中が加速していることを特に問題視し、首相就任後もその問題認識はしっかりと受け継がれた。

政府は2019年から移住制度の強化を図り、東京から地方に就職・起業した人などを対象に支援金制度を設けた。東京圏から地方への移住者数の目標を1万人に設定したものの、2019年から2024年3月末までで、支援金の利用件数は7582件、移住人数は1万5957人にとどまった。

一方で「東京の一極集中化」は一段と進んでおり、2024年は転入が転出を上回る転入超過が7万9000人余りで、2年前よりも1万人増えた。そのうち、15歳から19歳までが1万4286人、20歳から24歳までが6万4070人と、若者の転入超過が目立つ。石破首相との思惑とは正反対の状況だ。

9月7日、辞任を発表した石破首相(本人SNSより)
9月7日、辞任を発表した石破首相(本人SNSより)

こうした中、「地域創生2.0」の基本構想で掲げたのが「ふるさと住民登録制度」の創設だった。住んでいる場所以外に継続的に関わりを持つ場所をアプリを通して登録するというもので、地域の「関係人口」を増やし、関与のきっかけを得ることが狙いだった。さらには住民税の一部を希望する自治体へ分割納税する仕組みまでも視野に入れていた。

しかし、この構想は移住支援制度などと比べて貧弱だ。「令和の日本列島改造」とまで呼ぶには、あまりに拍子抜けである。在任期間中にもっと踏み込むべきだった政策だろう。