「トップセールス」とはお客さまが望む理想の営業の姿

アポ取りの段階から、契約に至るまで、絶対にしてはいけないのは、お客さまとの対立です。お客さまが怒ったら、商談は即中止です。

当然のことですよね。そして、先に指摘したように、下手に出る態度もダメです。「なめられる」と言ったら語弊がありますが、自信のない相手に大切なお金をかける人はいません。それがまっとうな経営判断なのです。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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人は、6秒ごとに目の前の相手を無意識で判断しています。出会いは0点からのスタートですから、加点がない限りは減点が続きます。パッと見の判断で低評価を受けてしまうのは避けたいものです。

そうは言っても、実績も自信もまだまだという頃は、その内面がにじみ出てしまうものです。

私は、営業職に就いてから、仕事をする際の服装はほとんど変わっていません。スーツにネクタイ、この一択です。スーツもいわゆるリクルートスーツだったことはなく、量販店の既製品ですが身の丈に合ったサイズ感のものを「着こなす」よう心がけています。

スーツとネクタイの色は紺、シャツは白です。これらはすべて「仕事着」として意識した選択で、私の趣味や主張は一切入っていません。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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なぜこのスタイルになったかと言えば、周囲のトップセールスが誰もがこのスタイルだったからです。実績も経験もない新人でしたが、根拠のない自信だけはありました。見た目でなめられたくない。パッと見で信用されないのはイヤだ。第一印象だけでも「売れる営業」になろうと思い、トップセールスのスタイルを借りたのです。

これが功を奏しました。新人の私に対し、お客さまは期待さえ寄せてくれたのです。私は、その期待に応えようと、「できない」「やらない」を言い訳にしないを信条に営業に取り組み、見た目通りのトップセールスを体現するに至りました。

ここに営業の心理があります。

お客さまは、トップセールスしか望んでいません。だから、自信のないアポ取りは断られます。「委ねる」「お伺いする」ようなクロージングは不発に終わるのです。

なぜなら、トップセールスは実在するからです。それ以外を選択する必要は、お金をムダにするのと同じだと、経営者は判断するでしょう。

これが営業の世界です。それがお客さまの望む営業の姿です。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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そうであるなら、国内810万人の営業職は、全員がトップセールスを目指すのが必然だと私は考えています。そしてそれを可能にするのが、本書がお伝えしている“すごい営業”なのです。ここに示したのは、「営業のノウハウ」ではなく、「トップセールスへの道筋」です。

そのすべては、誰もが、今から実践できるものばかりだと自負しています。

あなたが今すぐできることがあります。鏡の前に立ち、もしくはスマートフォンの動画を自撮りし、表情は笑顔か? 発声は自信に満ちているか? 見た目の印象はトップセールスか? その確認をしてみましょう。

判断基準は「お客さまからそう見えるのか?」です。お客さまが望む営業を体現するために、自分の自画像をトップセールスの姿に重ねて行きましょう。