未就学児や産後の母親も要注意 

小学生にスマホ内斜視が増えているということは、さらに幼い未就学児や赤ちゃんはどうなのだろうか? 育児中に手が離せない時、ついついスマホやタブレットで動画を見せてあやすこともあるだろう。

「赤ちゃんや未就学児の内斜視の場合、体質的なものなのかスマホが原因の後天的なものなのか判断が困難。従ってスマホ内斜視の診断はつけづらいんです。

しかも、未就学児のうちに内斜視になると片目を使わずにもう一方の目だけで物を見る癖がつくので『二重に物が見える』という症状自体も出ないんですよ」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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ただし、だからといって未就学児や赤ちゃんならスマホを長時間見せても良い、ということではもちろんない。

「『二重に物が見える』という症状がでないからこそ、その訴えがないまま成長し、気がついたらスマホ内斜視になっていた、ということもあり得ます。

また、体質的な内斜視がスマホの見過ぎで加速することも。私のクリニックでも4歳児の患者様がスマホが原因で内斜視が進行した、というパターンがありました。

未就学児は視覚が急速に発達する時期。スマホやタブレットは与えないに越したことはありません」

気をつけなければならないのは、幼い子どもを育てる親も同様だ。

「意外と授乳中のママさんのスマホ内斜視も多いです。夜、添い寝で授乳をしながらスマホを見てしまうことがあると思います。どうしても画面との距離が近くなってしまうので、症状が進行してしまうのです」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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遠くから我が子を見た時、目の焦点がズレていたら危険

では、親から見て子どものスマホ内斜視に気が付くポイントはどこだろうか。

「『授業中、先生が二重に見える』などの発言は症状が進行している可能性がかなり高いです。また、遠くから我が子を見た時に視線が定まっていないと感じたら要注意。

自撮りや近距離だと焦点が合うため気づきにくいので、遠くから見たり写真を撮ったりした時の視線に気をつけてください」

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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もしも我が子がスマホ内斜視だった場合、どのような治療があるのだろうか?

「発症初期であれば、スマホの利用制限で改善することもあります。ただ、スマホ内斜視の早期発見は難しいのも事実。発症初期は、物が二重に見えても、寝たら回復してしまうこともあります。そもそも近視の場合は常に遠くがボヤけており、二重に見えていることにも気づきにくいもの。

早期発見ができないと症状が固定してしまい、手術で治療するしかありません。12歳以降でしたらボトックスでの治療も可能です」