消滅可能性都市、子連れ世帯の移住を喜ぶ住民も
いっぽう移住者と住民の溝は目に見えることもあったという。
「去年の11月には旧黒崎小の体育館でてくてくの杜が新嘗祭を行ない、事前に使用許可を取っていた地元子供会の行事が開けなくなりました。
新嘗祭でオンライン参拝をさせて玉ぐし料を取ったとの指摘もあり、公共施設で宗教色の強い儀式を行なった上に金集めをしていいのかと市議会で問題にもなりました」(地元政界関係者)
「去年元日の能登半島地震の時に、避難所に指定されている旧黒崎小に住民が避難してきたのにカギがかかっていて入れなかったんです。てくてくの杜と住民の連携が取れていないからです」(Cさん)
加賀市は2014年から「消滅可能性都市」に指定されており、人口減が深刻だ。子連れ世帯の移住を喜ぶ住民もいる。
高齢のDさんは「子どもたちに畑の作物を持って帰らせたり、逆に園でつくったものを子どもたちがくれたりすることもあってそんな機会が増えてうれしいです」と喜ぶ。てくてくの杜への納入業者は「イベントが入ると注文が増えるので、それはうれしいですよ」と話す。
神谷氏も2022年3月、ブログで「そもそも我々が加賀市に移住したのは『加賀市は人口が減り、遊休施設がたくさんあるから我々が移住しそこでフリースクールなどをつくり移住者が増えるのを歓迎します』と言っていただいていたからです。」と主張したことがある。
ただ、そんな加賀も転機を迎えている気配だ。教育関係者によるとフリースクール在籍の児童・生徒は昨年9月の37人から現在18人に減っている。
「複数の子が市立の小、中学校に転校しました。学力低下を理由にあげる保護者も複数います。公立に移ると部活もしていきいきしてくる子もいます」と同関係者は話す。
住民のBさんは「最近は神谷さんも忙しいからこっちには全然来てないんでしょ。だからなのか、園舎への人の出入りも少ないし静かなもんだよ」と言う。
こうした住民の証言や旧黒崎小の施設をめぐるトラブルについて、集英社オンラインはてくてくの杜に確認や見解を求めた。すると代表者の男性から「子供たちの静かな学びを大切にしておりますので、その阻害となるようなメディアへの取材対応は行なっておりません」との返答が来た。
その中で代表者は、てくてくの杜は「参政党との関係は一切ありません」とした上で「神谷氏は7月27日をもってコミュニティを脱退しております」とも説明した。
参政党が参議院選挙で躍進した後に、神谷氏がこれら教育プログラムから手を引いたという意味なのか。多くの人が子とともに移住した加賀プロジェクトはどこへ向かうのだろうか。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班