​​大麻の「喫煙所」はどうなっている?​ 

​​ただし、「大麻を吸える場所」については、以前に比べて明らかに厳しくなっている。特にホテルでは「大麻禁止」を明示する場所が増え、飲食店付近などの灰皿が置かれているゾーンでも、わかりやすく大麻禁止マークが掲げられている。​

​​観光客向けに、英語と日本語が併記された注意書き​
​​観光客向けに、英語と日本語が併記された注意書き​

​​SNSにおいても非喫煙者による、「大麻のにおいが迷惑」との声が増えていたのは確かだ。ただ、これに対して喫煙者が「マナーを守ろう」と自覚的に行動することで、バランスを取ろうとする動きがある。​

​​法律上も、「ディスペンサリー店舗内であっても喫煙スペースの提供は禁止(医療目的は除く)」とされ、法改正がされてから1〜2週間の間はほとんどのディスペンサリーで店内での喫煙が禁止されたことで、多くの観光客が困惑していた。

​​だが先日、とあるディスペンサリーの会員向けメッセージにはこんな文言があった。​

​​「everything’s back in action. You know what we mean.」​​(もう全部元通りだよ。言いたいこと、わかるでしょ?)​

​​これは暗に、「また店内で吸えるようになったよ」ということを伝えているのだ。実際、事実上の「喫煙可能スペース」を店の奥に設けている店舗は現時点ではいくらでも存在する。「制度上はダメ」「実際はOK」──その矛盾に、誰もが目をつぶっている。​

 ​​処方箋は“買うための儀式”?​ 

​​観光客の反応はどうか。「処方箋制度って本当に必要なの?」という戸惑いは強いものの、「紙に名前とパスポート番号を記入して、サインするだけ。これで“医師の診断”って言われてもね……」と苦笑する声も聞かれる。​

​​処方箋制度は、むしろ「購入時のセレモニー(儀式)」に近いという見方もある。実際、新制度の導入が発表された直後の数日間こそ混乱が見られたが、それも一時的。今では多くの観光客が「何も変わっていない」と感じながら、普通に大麻を購入している。​

​​ただし、変化がなかったわけではない。たとえば、エディブル(食用大麻製品)の販売は禁止され、一部の商品が店頭から姿を消している。だが、これも“観光地から少し離れた店舗”では普通に販売されている現実がある。​

​​エディブル(食用大麻製品)の一例​
​​エディブル(食用大麻製品)の一例​

​​一般的に、「大麻は、お酒やその他のドラッグよりも害が少ない」という見方がある。しかし、バンコク病院のスタッフによれば、「大麻の摂取過多」で搬送される旅行者が存在しているのも確かだという。そして、そのなかには日本人も含まれる。​

大麻が非合法国の日本人が大麻過剰摂取で病院に来た場合、当然、保険は適用されない。過剰摂取の場合、場合によってはICU(集中治療室)に運ばれる。医療費が高額なタイで、さらに一般病棟より高額なICUではすべて実費が求められる。そのため、日本人は大麻に気軽に手を出さず、過剰摂取には充分に注意をするべきだという意見もある。​