“コバンザメ街宣”の追跡を相当警戒している泉氏 

この戦略の一環で、知事の不信任決議案提出の前後に姿が見え隠れした泉氏を批判する戦術を取っているとみられる。

「立花氏は6月29日に行われた兵庫県三木市長選にも出馬し落選しています。市長選では泉氏批判に力を入れ、泉氏が明石市長を離れるきっかけになった『火ィつけてこい』という音声を街頭演説で流したりしてました」(地元記者)

そして市長選さなかの6月25日、すでに参院選出馬を表明していた立花氏はSNSで、

〈(参院選の)選挙運動期間に入ったら泉房穂候補の選挙演説の後に私が、選挙演説をしていく予定です! ぜひ、泉房穂候補と私立花孝志の演説を同じ演説場所でお聞き下さい。〉

と表明。知事選でアシストするために斎藤知事について回った“コバンザメ街宣”を、今度は泉氏を批判するために行なう、と宣言した形だ。

7月3日、街頭演説で聴衆に両手をあげて応じる立花孝志氏(撮影/集英社オンライン)
7月3日、街頭演説で聴衆に両手をあげて応じる立花孝志氏(撮影/集英社オンライン)

告示前日の7月2日には、

〈何度でも発信したい。泉 房穂氏は、暴言を繰り返したため、2度と選挙に立候補しないと断言した人。暴言パワハラ嘘つき野郎です。〉

とポスト。泉氏のパワハラ問題を集中的に取り上げることを事実上予告した。

これに泉氏の陣営は防御策を取っているとみられる。

「泉氏は最も知名度があるにもかかわらず、事前に告知し有権者を集める街頭演説を行なっていません。3日は姫路沖の瀬戸内海に浮かぶ男鹿島(たんがじま)で第一声を上げ、泉氏はXでその理由を“私は、他のどの候補者よりも『地域』を大切にしたいと思っている”と書いています。

その後も周辺の島を回って夕方にはJR姫路駅前で街頭演説をしましたが、これも一般への事前告知はなし。

4日は昼ごろに午後の遊説先をSNSで発表しましたが、いずれも立花氏が前日に予告した街宣場所とかなり離れた地域で、距離を置こうとしているのではないでしょうか」(地元記者)

7月3日、選挙の第一声を離島で上げたと報告する泉房穂氏のXのポスト
7月3日、選挙の第一声を離島で上げたと報告する泉房穂氏のXのポスト
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陣営関係者は事前告知しないことについて「混乱が起きることを私たちは一番恐れています」とだけ話している。

そして公示日の3日午前、泉氏が向かった離島について行けなかった立花氏は、昨年の知事選初日に斎藤知事について最初のコバンザメ街宣を行なったJR神戸駅近くの公園で選挙演説を開始。

「日本のトランプ、立花孝志でございます。日本のトランプと言う以上は外国人不法移民、これはもう追い出します」と言いながら泉氏批判を展開し、演説直前にはXに〈隠れ立憲民主党の 【泉房穂】候補が街頭演説の予定を隠している〉とも書き込んだ。

泉氏は姫路での演説で、斎藤県政や立花氏には一切触れず、明石市長時代に市民生活を向上させたという実績を強調し「遅くても3年以内にこの国の総理大臣を国民の方を向いた、まともな総理に変える」と訴えた。

知事選の陰を引きずりながら、炎天下の選挙は続く。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班