どんな日程でも投票率にはそれほど影響しない?

「アメリカやスウェーデンの選挙を対象にした研究では、少なくとも雨天や雪などで投票率が下がる割合は極めて限定的だと実証されています。投票行動にあっては、天候や日程以上に『選挙戦が盛り上がるかどうか』。つまり、選挙区で与野党が接戦になっていたり、有権者が関心を持てるような争点設定ができたりするかどうかにかかっているのです」

つまり、日取りそのものよりも、「この選挙で何が変わるのか」が見えるかどうかが鍵だということだ。

では今回のような“3連休中日”に選挙をぶつけるケースは、本当に珍しいことなのだろうか。これまでにも意図的な日程調整があったのでは? という疑問について、吉田氏はこう説明する。

「参議院選挙は選挙日程が法律によって制約されるため、選択肢がそもそも狭いのです。今回でいえば、議員の任期満了日が7月28日、公職選挙法の規定で『国会閉会から24日以後30日以内』に選挙を実施しなければなりません。

今年は6月22日に国会が閉会したため、唯一の日曜が7月20日ということになります。かつて1950年代には金曜や月曜が投票日だったこともありましたが、現在では平日に投票日を設定することのデメリットを考慮すれば、今回の日程は必然的ともいえ、意図的な日程調整とは言いがたいでしょう」

一方で、選挙の投票率に「日程がまったく影響しない」とも言い切れない。衆議院選挙のように、解散権を持つ政権がタイミングを選べる場合、実際に投票率や関心の低い時期を狙った選挙も存在した。

朝食会で女性と過ごす石破総理
朝食会で女性と過ごす石破総理

たとえば2014年の衆議院選挙では、安倍政権が消費税引き上げの先送りを大義名分として年末に選挙を設定。12月14日の投票日は年末の慌ただしい時期と重なり、投票率は過去最低の53%にとどまった。