実は2月に同様の被害が...
KENZO氏がこれまで取材を重ねてきたぼったくりバーの事案では、クライナーを大量に頼んだと店側が主張するにもかかわらず、酔った状態に見えない被害者がほとんどだという。
「そもそもクライナーが小さい瓶ではなくグラスで出てくることなんて、まともな店ではほぼないです。クライナー=小瓶で一気飲みのブランドイメージがあるから。また、これまでにクライナーを飲んだことがある人なら、ぼったくりバーが提供してるクライナーの味の薄さに、違和感をすぐ持つ。
要はクライナーというお酒を知らない、飲んだこともない、真面目でおとなしくて『正規料金です』と言われても断ることができない人たちをターゲットにしているんです」
KENZO氏によれば、ぼったくりグループらが被害者に対して、「こいつゴネそうだな」「飲み歩いてて、クライナーを薄めているなとバレそうだな」と判断したら、「急きょ団体の貸切の予約が入りました」などと店側の都合を勝手に作り上げ、店を急に閉店させるという。
今回ぼったくりの現場となった道玄坂のバーをめぐっては、KENZO氏にも今年2月、「ぼったくられそうになった」との相談の問い合わせが来ていたという。相談者の男性は今回の逮捕された内容と同様に、障がい者向けのマッチングアプリを通じて知り合った女性に「いい雰囲気の店だから入ろうよ」とそのバーに連れて行かれたという。
飲み放題5000円で入店し、ゲームを始めると、飲み放題に入らない1本3000円のクライナーを数十本注文させられた。クライナーはピッチャーに入れられて提供されたという。最後に会計が37万円と請求されたものの、男性は長時間抵抗し、大金を払わずに済んだという。
「女性の外見はキャバ嬢やキラキラ女子とかではなく、いわゆる“ふつう”の女性。この男性はぼったくりグループから『最寄り駅までついていくぞ』などと言われ、圧をかけられていました。僕の調べによると彼らは1週間で数百万円単位のぼったくりを行なっている悪質なやつらです。
しかもバーを間借りしている可能性が高い。ぼったくりグループがレンタルスペースを借りたり、バーの店主に直接金を払い、間借りしたりしているのです。これまで店が警察に摘発されたり、僕らに突撃の撮影をされたりすると店自体が使えなくなり、損失が大きかった。それを防ぐためにレンタルスペースの利用や間借りをし始めたのです」
今回、ガサ入れが入った渋谷のバーをめぐって、近隣店舗のオーナーは「今年の初めから、オーナーが代わった。店の名前はあるものの、業態が変わり全く別のバーになったと聞いている」と証言した。