サイコロを〝10万回〟振ってみてください
そうは言っても、競馬で「当てることを目指さない」「的中率を意識しない」思考になるのは、かなり難しいです。実体験で「ああ、本当にそうだな」と思えないと、なかなか思考は切り替わらないと思います。
そこで、ぜひ試してほしいことがあります。
サイコロです。サイコロを振って、出た目のデータを取ってみてください。
サイコロを振って出る目は、当然ながら毎回バラバラです。6が10回連続で出ることもあれば、1が100回連続で出ないこともあるでしょう。
ですが、何度も振るうちに、だんだん出る目のバラツキ、偏りは減っていきます。
「大数の法則」といって、試す回数を増やせば増やすほど、確率が一定値に近づいてくるのです。実際に10万回も振れば、どの目も出る確率がほぼ6分の1ずつになってくることが確認できるでしょう。
この、「試行回数が多くなればなるほど、確率の偏りは減っていく」という法則は、競馬にも当てはまります。1レースだけで見れば、どの馬が1着になるかはいわば時の運ですが、10万回も走れば、その馬の力量に見合った勝率に近づいていきます。
たとえば、勝率50%の馬は、10万回のうち5万回は勝つ。勝率10%の馬なら1万回は勝つという具合に、確率が収束してくるはずです。
はずです、と歯切れが悪いのは、残念ながら競馬はサイコロのように実際に10万回やることはできず、「答え合わせができない」ためです。
ですが理論的にも、僕の長年の経験から言っても、長く続ければ続けるほど、確率はブレなくなります。
この確率の偏りをなくした状態で、その馬の勝率を考えるのが、ナーツ式競馬の基本になります。ここ、めっちゃミソです。
仮に10万回レースをするとして、10回に1回ぐらいは勝ちそうと思ったら、その馬の勝率は10%、といった具合に考えます。
このとき、その馬のオッズが20倍ついていたらどうでしょう? 10回中9回は外れてしまうかもしれませんが、20倍つけば、たった1回の当たりで回収率はプラスです。
つまり、勝率とオッズの両方を見て「10万回走ったら“おいしい馬”はどれか」を見極めるのが、ナーツ式の期待値を追う競馬なのです。
このやり方、1点だけ難を言えば、「当たりにくい」ことです……。
勝率5%の馬なら、95%は外れると思って賭けることになります。僕はもう、この考えが骨の髄まで浸透しているので気になりませんが、最初は面白くないと思います。
そこで「メンタル」が必要になってくるわけですが、今の段階で言えることは、「期待値は絶対に裏切らない」ということ。期待値を追っていれば、必ず期待値通りの結果がついてくることは、僕が保証します。
そこで当たらないからとブレてしまい、1番人気の馬に走るほうが、結果的(長期的)には損してしまうと思ってください。