ここにきてスマホオーダーを導入した嗅覚

〈5年越しの答え合わせです。サイゼの経営センスはマジで優秀なので、クソほどコストのかかるタブレット端末などというゴミは導入せず、モバイルオーダーの時代まで待つというとんでもない嗅覚を発揮しました。紙は過渡期運用だろうという読みは当たったと思うけど、これは読めなかった〉

このツイートは8万以上の「いいね」を集め、サイゼリヤの経営判断の巧妙さが改めて注目されるきっかけとなったなどと話題になっている。

サイゼリヤでのモバイルオーダーの様子(撮影/集英社オンライン編集部、以下同)
サイゼリヤでのモバイルオーダーの様子(撮影/集英社オンライン編集部、以下同)
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確かに、多くの飲食チェーンがタブレット端末による注文に切り替えるなか、これまでサイゼリヤは「紙の注文用紙」を使い続けてきた。客自身が商品番号を記入し、店員に渡すという、一見アナログな方法だ。

しかし、今ではなくなりつつあるこの紙方式には、実はしっかりとした戦略があったと言われている。

サイゼリヤに取材すると、コロナ禍を契機に「オーダー時のお客様と従業員の接触時間を減らす」という目的から、紙によるセルフ記入式注文を強化したという。

「この方法は、大きな写真でメニューのイメージを確認できたり、直感的にページを行き来しメニューを選ぶ体験を実現していました。また、サイゼリヤでは複数のメニューを注文しコーディネートを楽しんでいただきたいとも考えております。注文用紙にメモした方が整理しやすいとのメリットもありました。」(サイゼリヤ・広報担当)

おなじみの紙注文は消えていた
おなじみの紙注文は消えていた

そんな中で、デジタル化(DX)の流れも見据え、「紙に記録する部分だけをデジタルに置き換える」ことが注文用紙方式のメリットを継承し進化できる方法と考え、スマートフォンを活用したモバイルオーダーの導入に踏み切ったのだ。

ここで特徴的なのは、すべてをデジタルに一本化しなかった点だ。

「注文用紙方式の継続も検討しましたが、注文方式が多いことでお客様も従業員も迷ってしまうことを低減するため、スマホを用いたセルフオーダー方式と口頭方式の2つとしております。

導入後、比較的多くのお客様から、『便利になった』『これまでどおりボタンを押すことで口頭の注文もあるので安心』などのコメントをいただき、今後も、お客様や従業員がより便利になるように進化させていきたいと考えております」(同)