お客さんからLINEが来ると盗み見しては殴ったり蹴ったりした

祖母と祖母の姉は川崎区内で共同で飲食店を経営しており、彩咲陽さんはほぼフルタイムで店を手伝っていたという。その店に、1年少し前の冬、建設会社社長が従業員として連れてきたのがAだったという。

「社長さんが10人ぐらい従業員を連れてきたことがあって、その中の1人にAがいた。最初のころはみんなで週に1回ぐらいの頻度で来ていたのもあって、アサヒとその男が付き合い出したのも知らなかった。

というかアサヒも私たちに客と付き合っているのを知られたくなかったみたいだけど、ある日、アサヒがひどく顔を腫らしていたことがあって問い詰めたら『Aにやられた』って打ち明けてくれたんです。

Aはその会社が川崎大師のちょっと先に借りてた寮に住んでいて、アサヒは付き合いたての頃からしょっちゅうその部屋に出入りしていたみたい。

でも機嫌がいい時はいいんだけど、ヤキモチ妬いては暴力を振るうような男だったんですよ。たとえばお店の他のお客さんからLINEが来ると、それを盗み見しては殴ったり蹴ったりして、挙句に携帯を取り上げるというのがAのパターンなんです」

殴られることが何度もあったという(写真/親族提供)
殴られることが何度もあったという(写真/親族提供)
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AのDVが発覚して間もなく、雇い主の社長と岡崎家の面々が話し合い、早期解決するかに見えた。しかし、それは悪夢の始まりだった。

「アサヒのお父さんと叔父さん、社長さんがAを呼び出して『もう会うな』とキツく怒って約束させたんです。でもAは勤務態度も悪くてその会社もあっという間にクビになり寮も追い出され、今回遺体が発見された川崎区内の実家に戻っていたんです」

大人たちの監視から逃れ、溺愛してくれる母親が暮らす実家に戻った自称ラッパーのAの暴走は、ここから激化する。

「うまいこと言ってアサヒを呼び出しては暴力ふるって逃げ出されて、携帯に非通知で鬼のように履歴を残すようなことを繰り返して。あとで記録を取ってわかりましたけど、去年の7月31日の着信履歴もすごいもんでしたよ。

こんなこともあって、アサヒは川崎臨港署にストーカーや暴力行為について被害届を出したんですけど、それもAに再び捕まったときに脅されて、無理やり取り下げをさせられたんですよ。その上、誓約書も書かされたようです」

彩咲陽さんにかかってきた非通知電話(写真/親族提供)
彩咲陽さんにかかってきた非通知電話(写真/親族提供)