仕事が好きという「超王道」

意外だと感じるかもしれませんが、金融エリート系の人たちの仕事のやり方はハイリターンの割にハイリスクではありません。転職の際に生じるリスクを除けば、全般的にはミドルリスクといっていいかもしれません。

というのも、「投資をしている」といっても、会社員である限り原資となるのは会社が集めた投資家のお金や、会社の自己資金です。自分自身が株主から出資を募って大金を預かったり、銀行から大きな借金をしたりするわけではありません。

極端な話ですが、もし会社のお金で投資に失敗して億円単位のお金を溶かしてしまったとします。それで会社をクビにはなるかもしれませんが、法に触れる行為や背任行為、重過失などがない限り「溶かした10億円を今すぐ返せ」などと個人が責任をとらされることはあまりないと思われます。

むしろ、金融エリート系出身で富裕層まで上がれる人にとって大切なのは、果敢にリスクをとって一か八かの勝負に出るよりも、いかに仕事で大きな失敗をしないことともいえます。そして、前述したとおり、彼らは今の仕事で蓄財したものを、無難にでもきちんと運用して大きくしているという「超王道」で成功しているのです。

プライベートでは、「ゴルフが好き」「海外旅行によく行く」「ワインに詳しい」というタイプが多い印象です。ただ、「とはいえ、この人たちがいちばん好きなことは仕事なのだろうな」と感じるのは、ゴルフや旅行も仕事関係の人たちと行ったり、いいレストランでワインを飲んでいても話題は仕事のことが中心だったりと、趣味と仕事の線引きが曖昧になっていることが少なくありません。

仕事が好きだから「超王道」をコツコツと積み上げていくことができ、その結果成功して大きな富を得た、という人が多いのも金融エリート系の特徴です。

富裕層にはゴルフやワインが好きなど多趣味な人が多いという
富裕層にはゴルフやワインが好きなど多趣味な人が多いという

「ベンチャー経営者系」出身の富裕層の実態

ベンチャー経営者系出身の富裕層は、金融エリート系に比べて若く、20代後半〜40歳くらいでいわゆる成功をしている人たちが多い印象です。ただし、成功するまでは大きな収入を得るチャンスには恵まれていないことがほとんどでしょう。

ルーツは、金融エリート系と同様に高学歴な人もいれば、実家が自営業で幼い頃から経営者の働き方を見ていた人や、自分を変えるような大きなライフイベントがあって強い衝動や使命感により、世の中にうって出ようと決意した人もいます。

起業のきっかけは、学生起業や「社内コンテストで優勝して100万円の賞金をもらったので、そのアイデアをもとに会社をはじめます」というような社内ベンチャーからのスピンアウトもあり。外資系企業で激務を経験し、「コンサルで幅広く得た企業経営の知見を活かして」「金融リテラシーやマネジメントの実務経験をレバレッジに」といった理由で起業する人もいます。
 
富をつかむきっかけは、起業後に上場したり、企業に買収されたりして大きく当てること。

これは金融エリート系とは異なり、大きなリスクをとりハイリターンをつかみ取ることが求められます。大きな失敗があっても、何度でも立ち上がり、成功するまでチャレンジできるかどうか、その精神力と実行力が求められます。