[仕事もプライベートもガシガシと]
amy_tatsubuchi 2024/03/28
暖かくなると次第に元気を取り戻す私。夫は新しい仕事の件で弾丸パリ出張が入り、いそいそしていた2021年の春から夏。たいした趣味もなく「仕事は自己表現」の彼には、長く働いてもらわないと一気に老けてしまいそう…とコロナ禍にて新発見。リモートワークも定着したし、海外ロケだってリモート立ち合いって…約束通りに進行しているか確認はできるけれど。うーん、しっくりこないこの感じ。鎖国日本でのモード誌編集者の仕事の醍醐味って、何でありましょうか?例年通りの長い子どもたちの夏休みは、直島にアート旅と、白馬に家を借りてしばらく暮らすように過ごした。ダイナミックな自然遊びが魅力的なこの地にて、昼間は湖やキャニオニング、川遊びやサイクリング、夜は花火にオリンピック観戦など、日本の夏を満喫。きっとこのまま体調もメンタルも右上がりになるはず!と、年内予定は仕事もプライベートもガシガシ入れて突き進む。立ち止まってしまうと、キャンドル焚きまくって毎晩「底の自分」。11月にはオフ-ホワイトのヴァージル*が亡くなり、彼と親交の深かった夫と友人たちは衝撃に包まれる。
*オフ-ホワイトのヴァージル…ファッションブランド「オフ-ホワイト」の創設者でありデザイナー。2018年から2021年までルイ・ヴィトンのメンズウェアのアーティスティック・ディレクターも務めた。(1980~2021年)
[スタイリストの第三勢力]
amy_tatsubuchi 2024/04/10
2022年までのコロナ禍においての業界変化をざざっと振り返る。紙の雑誌の縮小傾向は進み、外資系モード誌は各国のビジュアルシェアが増え、国内撮り下ろし撮影は少なくなった。女性人気スタイリストは、黒子に徹する職人気質のモード誌系、芸能人やモデルと絡みながらセルフプロデュースもしっかりする赤文字系。大きく2派に分かれていたが、いずれも小さなページから徐々に頭角を現し、雑誌のスタイリングだけでも十分な収入を得られるほどに。ところが撮影はぐんと減り、IGライブで第三勢力が登場、それは1980年生まれの百々千晴さん。業界的にはすでに知られたスタイリストではあったが、一切の媒体やファッション話とは無関係に、本人アカウントのおもしろトーク、かわいい顔と素のギャップ萌えで大ブレイク。まさに個の時代を体現する人間力のなせる技か。気取らずおしゃれだし、長い脚にジーンズがよく似合う。何回か仕事も一緒にしたことがあるが、あの笑顔と喋り方は独特の癖があり後を引く。彼女以前と以後、スタイリストのありようは変わっていくのではないか。メディアは最初の準備体操で、そこから自分の人生を文字通りスタイリングする。リスクテイカーが輝く時代。
文/龍淵 絵美