所沢市は“東西格差”が著しい? 大型施設はあるものの…
所沢駅の東口を出て、商店街を抜けると、視界の先に広がっていたのは一面の畑。西口とは打って変わって、高層ビルの姿は見当たらない。もともと森を切り拓いてできた土地であることが、風景からはっきりと伝わってくる。
畑道をそのまま直進すると、スーパーやファストフード、家電量販店が入ったショッピングモールのような施設を発見した。
取材時は人影もまばらな印象を受けたが、将来的には多くの人で賑わう場所になるのだろう。というのも、ちょうど道を挟んだ向かい側では大型マンションの建設が進められており、現場には重機がひっきりなしに出入りしていた。
現時点では、タワーマンションやエミテラス所沢が立ち並ぶ西口と、畑が広がる東口とでは、周辺環境や暮らしやすさに明らかな差があるように感じられた。このギャップについて、東口周辺でも話を聞いてみた。
「自宅は西口側にあるんだけど、店はここ(東口)で40年以上やっている。東口は昔から山ばかりで、人なんて全然いない。マンションとかショッピング施設が建ったのも、本当につい最近で。それに比べて西口は、土日なんか人がすごくて、買い物どころか、施設の中を歩くのも大変なくらいだよ。
今、東口では大きなマンションを建てているけど、完成しても人が入るのかな。駅からちょっと歩くし、西口のほうが栄えているから、人気が出るのか分からないね」(70代・近隣商店の店主)
「東口と西口では、正直かなり格差がありますね。でも、川越や春日部と比べたら、所沢のほうがずっと栄えていると思います。実際、周辺の街から買い物に来る人も多いですから。ただ、所沢住民のなかには、池袋や新宿まで出ちゃう人も多いんですけどね」(40代・主婦)
ちなみに所沢は、映画『となりのトトロ』の舞台のモデルになった地としても知られている。駅前にはトトロの銅像が設置され、発車メロディにも映画の楽曲が使用されているなど、街全体で作品の世界観を感じられる。
しかしその一方で、かつての豊かな自然は次第に開発によって姿を変えつつある。環境保護に熱心だった宮崎駿監督は、今の所沢を見て何を思うのだろうか……。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班