女性の不倫と風俗通い

――先ほど、タイ人男性がとにかく声をかけてくるという話がありましたが、具体的にはどんな状況で?

タイの道はスコールが降るとしょっちゅう冠水するんですが、そこに顔見知りのタイ人男性がバイクや車で通りがかって「乗っていきなよ」と声をかけてきて、その流れで連絡先を訊かれるとか、同じマンションに住むママ友の子どもが乗る幼稚園バスの運転手さんが連絡先を書いたメモを渡してくるとか。

あとはゴルフやムエタイなどの習い事で親しくなると、コーチが「送り迎えをしようか?」と誘ってくるケースもあります。知らない人ではないという安心感もあり、甘えてもいいかなという気になっちゃうんでしょうね。

それが不倫関係に発展して、女性がハマってしまうと、経済的に豊かな駐妻がコーチの日給(1500円程度 ※2010年代)を負担して「仕事に行かないで!」と訴えることもあるようです。子どもが朝 6 時半にスクールバスで日本人学校に行った後、彼の家で二人ですごしたり。

また、日本では考えられないですが、コンビニの店員が気軽にナンパしてきます。「そのワンピースきれいだね。お姉さんによく似合ってるー」とか、とにかく褒める。

会話を続ける中で、「○○に行ったことある? 今度バイクで連れて行こうか?」と誘われたりします。

あるとき、私が支払ったインターネット代の払い込み伝票を見て、店員が電話をかけてきたことがありました。「○○でお金を払ったお姉さんだよね。僕はあのとき受け付けた店員だけど……」「タイ語上手だったけど、今度お茶しない?」みたいな。

個人情報の取り扱いが慎重になっている日本では考えられないですよね。そんなことがバレたらクビになります。不快に思われて訴えられるという発想が希薄かもしれません。

2016年、タイ駐在中に、小説家デビュー
2016年、タイ駐在中に、小説家デビュー

――実際に聞いた中で、印象的だったエピソードはありますか?

タイのマンションには大体、住み込みの修理工がいるんです。水回りだったり、設備の不具合を直してくれます。その人から聞いた話ですが、ある奥さんの部屋にエアコンの修理に行ったら、ベッドに誘われたと言っていました。

――女性用風俗に通う人もいると聞きましたが……。

ゲイエリアには、男性が男性を買うゴーゴーバーがあります。そこで働く男性を女性が買うという話は聞いたことがあります。

シーロム、パッポン、ソイトワイライト……バンコク市内には、そういうお店が密集しているエリアがあるんです。タイに長く住む日本人女性がアテンダーとなって、そういった盛り場を駐在妻や日本人女性観光客などに、案内することが多いそうです。

コロナ禍前にトゥクトゥクの運転手から、ついに日本人女性専用の風俗ができたと聞き、小説の中のエピソードのヒントになりました。