「ローラー大作戦!の巻」(ジャンプ・コミックス15巻収録)

今回は、ローラースケートを巡る大騒動を描いたお話をお届けする。

ローラースケートシューズは底部に4つの車輪がついた靴で、ローラースケートはこれを使った競技や遊びを指す。現在では靴自体とローラーは一体化しているが、かつては車輪のついた金属製フレームを、雪の上を歩く道具「かんじき」よろしく、靴底にベルトを介してくくりつけるものが主流。

本作で麗子が履いているようなシューズと車輪が一体化した品は、作品が描かれた1979年当時にはやや珍しい品だった。

日本において、ローラースケートのブームは何度か訪れた。

まずは、1910年代から1940年くらいまでの、いわゆる「戦前」が、第一次ブームの時期といえるだろう。19世紀末に海外から持ち込まれたローラースケートが次第に普及していき、1960年代後半から1970年代半ばにかけてはローラースケート用のリンクを持つ遊技場などが登場し、第一次ブームとなった。

続いてのブームは、1960年代後半から1970年代なかばにかけてのものだ。これはテレビの影響によるものだ。

ローラースケートを履いた2つのチームの選手たちがリンクを周回しながら体をぶつけ合って競う、プロレスのようにショー性が高い試合を扱ったアメリカのテレビ番組『ローラゲーム』が日本で放送されたのをきっかけに、ブームが訪れた。本作で両さんが引っ張り出したローラースケートは、この頃に購入したものだろう。

1970年代後半には空前のディスコ(のちのクラブに似たダンス場)ブームがあり、その中でローラースケートを履いて踊る動きが見られたが、これは不発に終わる。

日本でのローラースケートブームのピークは、1987年にデビューしたアイドルグループ「光GENJI(ひかるげんじ)」によって起きた頃だろう。ローラースケートを履いて歌い踊る姿に、少女たちはもちろん子どもたちも夢中になった。

その後は、ブレードに沿って縦イチに樹脂製のローラーが並んだ「インラインスケート」が登場すると、これが子どもたちに普及。これが一般的なローラースケート靴の形態となっていった。

それでは次のページから、両さんのローラースケート靴を履いての大暴走をお楽しみください!!