ミリオネア名場面3選

そんな歴史に残る番組をみのさんとともに作り上げた伊藤さんに記憶に残る「クイズ$ミリオネア」の名場面3選を聞いてみた。

名場面1:10カ月ぶりのミリオネア誕生は、まさかの人物

「番組開始2年目の頃でした。10カ月以上、誰も最高賞金額の1000万円を取れていない状況が続き、スタッフの間でも不安が広がっていました。

そんなとき、香川県から来た27歳の主婦、坂本ひとみさんが『実家のヤマメの養殖池を改修したい!』という夢を抱き、1000万円獲得を賭けた最終問題に挑戦したんです」

伊藤さんによると、坂本さんはクイズマニアでもなく、予選の成績もごくごく普通だったことから、誰もがミリオネア候補としては見ていなかったという。そんなノーマークの挑戦者がまさかの全問正解!

「10カ月も獲得者の出なかったミリオネア誕生に、スタジオ中が大騒ぎになりました。その真ん中で、みのさんが誰よりも嬉しそうに喜んでいたのが忘れられませんね」

名場面2:プロ野球選手・新庄剛志の挑戦

当時、ミリオネア挑戦に当たって新庄剛志(現日本ハムファイターズ監督)がスタジオに持ち込んだのは、一本の鉛筆だった。

「鉛筆の削れた端っこには、ABCDと書いてありました。昭和の子どもが学校のテストのときに山勘で答えるためによく転がしたやつです。新庄さんはその鉛筆を何度か転がして最終問題まで到達したんです。

しかも、最後の問題でも鉛筆を転がして解答。正解不正解の発表の前に、みのさんが『どうしてそう思いましたか?』と重々しく質問したところ、新庄さんは『鉛筆!鉛筆!』と雑に答えていました。それでまさかの1000万円獲得!人知を超えた、とんでもない挑戦でした」

鉛筆1本で1000万円を獲得した新庄は、球界だけでなく、クイズ番組でもミラクルな力を発揮したのだった。

名場面3:番組史上、最も長い1問の回答時間は…

番組の長い歴史の中で、最も解答に時間を要した挑戦者がいた。

「その挑戦者は前半戦でライフライン(使用可能なヒント)を使い果たしてしまい、最終問題の1問を解くのに1時間近く考え込んでしまいました。この番組に制限時間はないので、ルール上は全く問題ありませんが、途中でしびれを切らしたみのさんから『問題をよーく読むのも大事ですが、空気も読んでください』と皮肉な一言も飛び出しました」

とはいいつつ、みのさんは挑戦者が納得するまで史上最も長い1問の解答を待ち続けたという。そんな粘りに粘った大一番だったが、残念ながら1000万円を獲得することはできず…挑戦者はスタジオを後にしたのだった。

各国で人気を博した「クイズ$ミリオネア」(写真はイメージです、shutterstockより)
各国で人気を博した「クイズ$ミリオネア」(写真はイメージです、shutterstockより)