コメの値段が今後も上がり続けることはないと思うが…

大嶋さん自身は今、コメ農家としての可能性も感じつつあるという。

「今回のコメの高騰により、今までのコメの流通のあり方も変わっていくんじゃないかと思うんです。今回の騒動でJAにではなく自身で売ろうと考える人も増えるだろうし、コメ屋もコメ農家との直販のルートの確保の重要性を見直すはず。

ウチはせがれも一緒にやっているので、今後はこういった環境になっていくだろうし、うらやましいよ。ただこういう時だからこそ、お金だけに走らないようにきっちりふんどしを締め直さないと、とも思っています。

コメ騒動後の茨城のこの辺のJAのコメの買取価格は日本でもトップクラスに高くて、60キロ25000円~25500円です。ウチは以前からずっと60キロ約2万円で取引してきましたが、そういう契約先に『米価が高騰したから次からは2倍で』なんて言えないので、経費の高騰にあわせて2~3%は価格を上げただけです。

ウチはコメ騒動以降に価格が高騰してからも異業種や海外のお客さんというのはいないです。そもそも売れる在庫もなかったので、問い合わせがあっても、どういう職業かも聞いてないんです。ウチとしては新規の取引先を増やすより、これまで取引してくれてきた人たちへの販売量を少しずつ増やしていければと考えています。

大嶋さんが作る百笑米(ひゃくしょうまい)の種(撮影/集英社オンライン)
大嶋さんが作る百笑米(ひゃくしょうまい)の種(撮影/集英社オンライン)
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それと、コメの値段が今後も青天井で上がり続けることは、ひとまずはないと思います。あくまで消費者が買える範囲の金額じゃなきゃ売れないわけですから。ただ、価格が以前のように戻ることは二度とないんじゃないかとも思っています。

供給が先細って需要が増えている状況に加え、気候の問題もあります。今年も暑ければ先程言ったことがまた起こりえるわけです。私は将来的には、日本人が日本のお米を食べられなくなる時代が来るんじゃないかって思いますよ」

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班