復活の兆し

「毎日『どうしよう』と友人に相談し、仕事を紹介してもらっていました。廃品回収の仕事があるよ、と言われれば同行したり。そこでは僕の顔を見て『あれ清水だ』って笑いものにする人も少なくありませんでしたし、『親父も呼んで麻雀やろうや(笑)』と馬鹿にもされました。

他にはゴキブリと蜂の駆除にも行きました。『ゴキブリを駆除してほしい』と依頼してきた人の家で排水溝を開けて『あー、ゴキブリの卵が出てきましたね』とやる仕事なのですが、実はその会社はゴキブリの卵をあらかじめ用意していて、要は自作自演だったんです。だから『法に触れるインチキなことはできないです』とすぐに辞めました。思っていた以上に世の中って甘くなくて…」

そんな生活を続けるうちに精神をすり減らし、気付いたら昔ドラマのロケで行ったことのある神奈川県の三崎口駅を目指していたという。三崎口のあたりは波や風に浸食されてできた海岸沿いの崖も多い。

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「死んでしまおうと思っていたんです。ですがヒヨッて川崎駅で下車していました。川崎駅でぼんやりしてたら2人組の男の子たちが路上ライブを始めて。

見ているうちに『これかな?』って活力がわいてきてカラオケに行ったんですよ。それで心配してくれていた友人に『もう大丈夫だよ』『カラオケにいるよ』って写真を送ったら、それを見た親父が『あいつ死ぬぞ』ってマネージャーたちに場所を調べるように言ったそうです。カラオケ店から出たら、そこに親父がいて」

店の前に、清水アキラは慌てた様子で立っていたという。

「親父は怒るでもなく『あー間に合ったよ』と言ってくれて。僕は思わず号泣してしまいました。『路上ライブ見ていたら、俺もやりたくなったんだ。練習のためにカラオケに行っていただけ。もう大丈夫だから』と伝えました。そのあと親父は少し早めの誕生日プレゼントだってアンプを買ってくれて、それを担いで初めて路上ライブをしたんです」

モノマネ路上ライブをYouTubeやTikTokで配信すると、徐々にそれが仕事に繋がりだした。

「一人娘が小学校にあがったんです。どうにかランドセルも買ってあげられました。別居中ですが嫁とともに娘を育てていて、僕も娘を最優先にしています。

絶対に娘のことは支えていかなきゃいけないって思っています。将来は、銀座でものまねのショーパブを持ちたいなって思っています。構成を親父に考えてもらうのもアリですね(笑)。そのために今はとにかく『もう一回、清水良太郎行くぞ!』ってところを見せていきます」

※本記事は2023年5月20日に公開した内容に加筆・修正したものです

取材・文/集英社オンラインニュース班  撮影/村上庄吾