「長期間湯を替えない」はやっぱり危険だった! マコモ湯の正しい浸かり方

マコモ自体は悪いものではないとのことだが、今回話題となったような「長期間湯を替えない」ということにはリスクがあると筋野医師は指摘する。

「マコモ菌は増殖力が高く、他の菌の繁殖を防ぐと言われていますが、これについても科学的なエビデンスはないので注意が必要です。

よって、皮膚に付着しているさまざまな常在菌が、お風呂の湯の中で雑菌として繁殖してしまうリスクがあるのです。

マコモ菌以外の雑菌が増殖することは、体臭や衣類の臭いの原因になりますし、アトピーなどで体に傷がある場合は、化膿して悪化してしまう可能性もあります」

筋野医師は「毎日湯を替えるなら、マコモ湯は問題ない」と言う。雑菌の増殖を防ぐと言われているマコモ菌だが、その情報を鵜呑みにするのは危険だということだ。

写真はイメージです(PhotoACより)
写真はイメージです(PhotoACより)

効能のある湯には毎日浸かることが大切

マコモ以外にも、温泉施設などには「リウマチが治る湯」や「肩こりに効く湯」など、さまざまな効能をうたった湯が存在する。このような湯に浸かる際の注意点について、筋野医師はこう述べる。

「治癒機能を持っているとされる湯は、一度浸かっただけで効果を感じることは極めて難しいでしょう。皮膚表面は角質層と皮脂からなる『肌バリア』によって守られているため、皮膚から何かしらの成分を直接吸収することはめったにないんです。

そうした肌バリアの奥へ浸透させるには、毎日繰り返すことが重要です。化粧水は毎日使用することで効果が実感できると思いますが、お風呂も同じで、毎日浸かることで湯の効能を徐々に実感できることがあります」

マコモ湯をはじめ、その効能を最大限に実感するならば、清潔な湯に毎日浸かるということが大事なのだろう。

――結論、マコモ湯自体は悪いものではないということだった。ただ、ネットの情報を鵜呑みにすることは危険で、自身で正しい入浴方法を身に付けなければ思わぬリスクに巻き込まれてしまうかもしれない。

取材・文/瑠璃光丸凪(A4studio)