「究極の贋作…!?の巻」 (ジャンプ・コミックス88巻収録)

今回は、美術品の鑑定家にコケにされた両さんが、意趣返しのために贋作作りに邁進するお話をお届けする。

贋作とは、作者、制作者以外の者によって模造して作られた品を指す。

金欲や名誉欲によって作られる場合が多いが、真似ることによって制作や創作の技術・精神などを学べる側面もある。これは贋作作りと言うよりも、模倣による練習と捉えるのが適当だろう。

ふんぞり返った鑑定家に一杯食わせるために精巧な贋作を作るという本作での両さんの行為は、一種の愉快犯的な意味合いがある。

また、作品の価値観に一石を投じるためのフェイク・アートといったものも存在し、とにかく贋作の世界は広く、奥が深い。美術の歴史は、贋作の歴史でもあるのだ。

『こち亀』には、実にさまざまな偽物、贋作が登場するお話が存在する。そんな中で異色の一作として知られるエピソードを簡単に紹介しておこう。

「鑑定師大原部長の巻」(ジャンプ・コミックス175巻収録)では、いっぱしの鑑定家を気取る大原部長をからかうため、国宝級の逸品を両津家から出てきた品だと偽って鑑定させるのだが……。意外にも、仕掛けたのは両さんではなく中川だ。だがこの中川の悪戯心が、とんでもない惨劇を巻き起こすことになる。ぜひとも一読をお勧めしたい傑作だ。

「鑑定師大原部長の巻」より。それは利休の真作です……
「鑑定師大原部長の巻」より。それは利休の真作です……

それでは次のページから、両さんの復讐心が燃え上がる偽物作りのお話をお楽しみください!!