利用者の自殺未遂と職場内いじめ
そんな福祉業界への並々ならぬ思いを抱き、入職した社会福祉法人だったが、“ある出来事”をきっかけに真由子さんは心を病み、入職6年目で退職することになってしまった。
「私は新卒から『母子支援施設』で子ども支援を担っていました。施設に帰ってきた子どもの勉強を見たり、一緒に遊んだり、行事を企画する仕事です。
ホームレス支援施設への配属は叶いませんでしたが、それでも退所した子どもが会いに来てくれたり、不登校の子どもが学校に通えるようになった時は、この仕事にすごくやりがいを感じていました」
仕事ぶりが評価されたこともあり、5年目で施設のリーダー職に抜擢された真由子さん。しかしそこから暗雲が立ち込め始めた。
「当時、職員が女性ばかりの部署で、職場内でいじめが発生したんです。後輩が、悪口陰口や嫌がらせのターゲットにされてしまい、うつ病を発症後、退職してしまいました。
自分にとっては初めてできた後輩だったので、『どうして守ってあげられなかったんだろう…』って責任を感じ、激しく後悔しました」
そこから真由子さんは不眠に陥り、職場の通勤中に眩暈や激しい動悸に襲われる日々が続いた。症状が3カ月続いたタイミングで、ようやく心療内科を受診。医師からは「適応障害」と診断された。服薬しながら常に脳にスモッグが掛かったような状態で働く日々だったが、“ある出来事”をきっかけに、真由子さんはついに心身ともに限界を迎えることになった。
「ある日、利用者の母親が突然『死にたい…』って言ってきたんです。ただ私もその時すごく疲れていて頭が回らなかったのもあって、全く気の利いた返しができず…。
『誰にでも死にたいって気持ちぐらいありますよ』って軽い感じで言ってしまったんです。そしたら翌日、その母親がベランダから飛び降り自殺を図ったんです。何とか一命は取り留めましたが、上司からは激しく叱責されました。もうあの時は全てが上手くいかなかった。私も限界だなって思いました」
その後、半年間の休職を経て退職した。