「痛みが愛おしいんですよね」
あらゆる金蹴りイベントで栄光に輝き、“ドSのいおりん独裁政権 第1回”の覇者に輝いた、金蹴られ侍シンジ氏もまた今大会に参加していた。このイベントの美点についてこう答える。
「いおりんさんによって、民度の低いエロ目的のマゾが完全に遮断されているところですね。私たちは我慢比べがしたいわけではなく、『痛そう』の向こう側に挑戦したいと思っています。大会の参加者がおしなべて表現者であることも、魅力のひとつだと思います」
シンジ氏の目覚めは、中学2年生のころ、同級生の女子に蹴られたことがきっかけだという。
「自分で稼ぐようになってからは、女王様に蹴ってもらうことで満足していました。痛みはもちろんあります。でも、その痛みが愛おしいんですよね。痛みのなかにも蹴り手さんとの信頼関係が生まれて、感謝できるようになった頃、少し丈夫になったのかなと感じます」
シンジ氏は、パートナーに対しても自らの性癖を隠していない。
「別のイベントで知り合ったパートナーがいるのですが、すべてをオープンにできる関係です。もちろん、理解してくれています」
イベントで喝采を浴びるたび、得られるものもあるのだという。
「どんな裕福な人にも買うことのできない、観客の感情の盛り上がりを肌で感じられるところが最高ですね」
一般に急所への攻撃はあらゆる格闘技において禁止されている。だが“ドSのいおりん独裁政権”においては、すべての選手が笑顔で自らの股間を差し出す。痛みの一歩先の快楽を知る者たちの宴は、今後も続く。
後編 容赦なく金蹴りを繰り返すドS女性の壮絶な人生…6歳のときの性暴力、その後“玉狩りイベント”を立ち上げるまで に続く
取材・文・撮影/黒島暁生