挫折は人間を大きくする
「留学では圧倒的な挫折を味わうことになりますが、それは強くなるための貴重な経験です。『もっと日本語だったらうまくやれるのに』と悔しい気持ちになっても、現実にはその思いはついてこず、現地の人たちにバカにされることもあるでしょう」
一度骨折すると、その部分がより強くなるように、挫折というのは人間を大きく変えてくれる貴重な経験である。
さらに、物事を受け流す力も付いてくる。このような「しなやかさ」は日本ではなく、海外で鼻っ柱をへし折られることで身につけられるのだろう。
かくいう岸谷も「芸能人2世」という立場で、日本では恵まれた環境に置かれていたが、海外だとその肩書はすべてなくなってしまった。
「アジア人として圧倒的な弱者になる経験も、なかなか味わえないものです。日本だと『芸能人の子ども』ということでチヤホヤされましたが、それが海外だと『まったく誰にも知られていない』存在となります。
それは、僕にとって非常にショックであると同時に、価値観を大きく変えてくれました」
そんな彼は今年、これまでの自身の体験をもとに、超コミット型留学支援サービスの「MMBH留学」を始動させた。これは願書コンサルティングからTOEFL/IELTS対策まで、海外進学への道を総合サポートするサービスだ。
なぜ、留学事業を興そうと思ったのだろうか?
「僕は3歳ぐらいから勉強をしてきて、小中高、高、大、大と、6回ぐらい受験しているんです。
ずっと受験勉強に追われる人生で、常に時間とお金と労力を使ってきました。
そのため、留学事業は僕の人生のひとつの集大成だと思ったのです」
アメリカのフォーダム大学、イギリスのユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、そしてイタリアのボッコーニ大学に合格した実績がある。スタンフォード大学にも書類選考は通過している。
つまり、留学は岸谷がもっとも熟知しているフィールドなのだ。圧倒的な知識と経験だけではなく、インフルエンサーとしてのポジションもある。
「留学業界には中途半端な学校しか紹介してくれない『搾取ビジネス』のようなものがたくさんあります。そのため、原動力としては質の低いものを淘汰していきたいという気持ちが強いです」