「私たちに、新しい時間割り」
古き良きVERYはいわゆる「セレブな主婦」やそれに憧れる人が読むものだったけれど、ここ数年のワーママシフトは凄まじいものがある。
誌面には「主婦」という肩書きの読者モデルはあまり出てこなくなり、夫婦共働きで、かつ妻も正社員だったり独立していたり、自分で会社をやっていたりしてガッツリ稼いでいる人が増えた。
かつては「夫におねだりするもの」として掲載されていたジュエリーも、「私が仕事を頑張るための必要経費として家計に計上して買う」「育休復帰のお祝いとして清水買いしました」といった言葉が並ぶようになり、VERYウォッチャーとしては隔世の感がある。
そんな令和のVERYのキャッチコピーは「私たちに、新しい時間割り」である。夫や子供の都合に合わせて生きる従来の主婦像から脱して、「私もガッツリ働いて稼ぐから、時間や家事のやりくりを協力してね!」というワーママ像が見える、今っぽいキャッチコピーだと思う。
ここ数年のVERYの巻頭には決まって「私の『新しい時間割り』」という連載がある。匿名読者の日々のスケジュールが記載されているのだが、これが毎号「ゴリラ」すぎるのだ。
仕事の合間に家事や保育園の送迎をこなすだけでは、おそらくこのコーナーには載れない。
会社経営や外資系金融など、夫婦ともに多忙な仕事をこなしながら、さらに子供の自宅学習や習い事の送迎時間を確保し、自分磨きのためのジムやピラティス、夫との二人時間、友達と会ったり趣味を楽しむ時間を捻出したりしている、「一体いつ寝てんの?」という人たちが、実際何をどうやっていつ寝ているのかを解説するコーナーなのである。
そして答えは、「あんまり寝てない」である。
5時起床、23時就寝くらいならまだいいほうだが、この連載で7時間以上寝ているワーママは私の記憶ではほぼ見たことがない。
夫・子供・財力・美しさの4つに、「仕事」を加えたのが令和のVERYなのだとしたら、そのすべてを手に入れるための時間割には7時間寝ている暇はないようなのだった。